活動報告

一次隊(10月21-23日)の報告書を掲載

2015年10月21~23日・常総市あすなろの里

【活動動内容全般について】

避難者の健康・生活状態の把握と、環境整備を中心に活動した。午前・午後に1~2回ずつ全居室をラウンドし、日中も避難所に残る避難者の生活・健康状態を確認しながらコミュニケーションを図 った。適宜、清掃・換気など、自主的に行えるようサポートもした。

具体的なケアとしては、高齢者・慢性疾患患者など要観察者のバイタルチェック、子どもの爪切り、手洗いや手指消毒の指導、片付け作業などで負傷した創の消毒、リラクゼーション・ストレッチの個別アドバイス、体操指導士によるリハビリ体操の補助、福祉スペースへの移動の必要がある方のアセスメントと環境設定(居住スペースの設営含む)など。

他の支援者との連携として、巡回診療の精神科医師・訪問看護師との情報共有、専門職協会や団体からの派遣のソーシャルワーカー・PT/OT(理学療法士/作業療法士)・介護士との記録と情報の共有化を提案して実施し、支援者グループのリーダーシップをとっている嘱託保健師のサポートを行った。リハビリ関係職種の支援者とは、避難者のADL(Activities of Daily Living:日常生活動作) 低下予防のため、マットレスの導入と運動療法に関して個別ケースのディスカッションを行った。評価に関してはそれぞれ後任者に引き継いだ。


【医療相談について】

補水用にサーバーが設置してあるが、冷水により腹部症状を訴える方が増えたため、対症療法として市販薬の配布、白湯または常温水の飲用を提案した。また支援者にも、体操やイベント時に提供する飲料はできるだけ常温のものにするよう情報共有した。

居室の乾燥とカビ・埃により咳嗽症状の訴えも多かった。換気と清掃の必要性があったが、日中避難所に残っている住民は要配慮者であり固定化しているため共有スペースの換気・清掃をするには負担が大きく、環境改善までには至らなかった。個別にマスク着用と個人居住スペースの換気を促した。数週間以上咳嗽が続いている方には、体温チェックと病院受診を薦めた。

避難所生活でのストレス(不眠、他の住民や支援者間のトラブル、乾燥・寒冷環境など)について話を聞き、必要時はカウンセリング対象者としてリストアップし保健師に申し送った。また、要観察者や対応に注意が必要な方に関する情報、トラブル事案(猫へのえさやり、飲酒による喧嘩など)についても他の支援者と共有した。


【訪問先の状況について】

避難所は元々宿泊施設でもあり、畳の部屋があり食堂や大浴場も設置しているため、他の避難所に比べ環境は恵まれているという話が、支援者からも避難者からも聞かれた。しかし、その中でも体育館や研修棟という大人数での居住空間は乾燥も強いうえ寒冷環境にあった。また、宿泊棟の5~6人部屋でも風邪のうつしあいもあるということで、今後は呼吸器・胃腸感染症の万延予防を重点的に行っていく必要性を感じた。

洗濯物や個人の持ち物の紛失、支援物資の共有ルール、共有スペースの管理ができていないなど自治力の弱さも見受けられた。長期・継続的に活動しているスタッフがいないため、毎回同じことを聞かれるなど住民も疲労とストレスが強い。高齢者や痴呆のある方が詐欺に巻き込まれる事案も発生した。プライバシーを守りつつも、治安を強化し、また支援者と避難者間、避難者間の関係性を良好に保ちながら、避難者が自主的に生活環境を整えていけるような継続支援が必要である。


【あすなろの里での活動で気付いたこと】

看護職が単発で派遣されていたということもあり、支援者間で記録物などの共有化が図れていなかったが、1週間前に派遣されていた看護師が保健師と連携を図るきっかけをつくったため、さらに連携体制を構築することも目的として活動した。朝のミーティングで支援目標と1日のスケジュールの共有がされるようになり、要観察者の状態や対応した事案に関しては、統一した記録書式を使用して残すなど、支援者間の連携も図れるようになってきている。

避難所としてのあすなろの里の管理をしている市の職員およびあすなろの里の施設管理者とも環境改善について話し合うも、福祉スペースへの移動以外の居室移動に関してはなかなか進めることができない状況であった。また、県の看護協会が撤退後に外部支援者として活動することになったが、まだ現地の保健医療職の力も必要であると考える。

11月中に避難所は閉鎖するとのことであったが、被災者は今後新しい住居が確保できても職場や学校を変わらなければならなかったり、通勤・通学に時間的・経済的負担が増える人も多い。また、市の職員含め、被災しながらも支援者として活動しているスタッフの心身の疲労も増加している。被災者と自治体職員の安定した生活が戻るまでには時間がかかり、県や国の支援もまだ必要であると考えられる。

HuMAからは4名の看護師が派遣されるが、活動期間が重ならないため引継ぎが困難であった。個人情報に関係する内容に関しては、避難所内の支援者詰所(保健室)に書類として残し、保健師から後任に伝達してもらうようにしたが、土日は嘱託保健師も新しい人に変わるとのことであったため、前日に来ていただき直接申し送りをした。HuMAの後任看護師にもメールおよび電話で情報伝達を図ったが、やはり単発での派遣は先方に負担をかけないような引継ぎが課題である。

NPO連絡協議会への参加は、自身1名のみの派遣でかつ実働であったため、時間的・身体的に負担であった。新団体としての紹介の必要性も感じて1回参加した。