2015年10月26~28日・常総市あすなろの里
【活動動内容全般について】
【関係職種との情報共有】
市役所事務職・あすなろの里施設担当者・市嘱託保健師・理学療法士・作業療法士・介護福祉士・社会福祉士・NPOスタッフ・他団体からの派遣看護職らと毎朝および随時ミーティングを実施し、避難所および避難者の情報伝達、課題に対する検討を行った。
【避難所の環境整備・感染症予防】
避難所を巡回し、居室、手洗い場、トイレ、食堂、浴室、汚物・ゴミ置き場等の環境チェックをし、適切な処理や手洗い・手指消毒剤の配置を整備した。高齢者・障害者の転倒予防を図るため段差や夜間の照明についてチェックし、施設担当者と対応を話し合った。
【健康相談・巡回相談】
歩行が可能な方には所定の場所に来ていただき、血圧測定・健康相談を実施した。集団の場に出向いてこられない方には居室やブースを巡回して健康状態を把握した。
【保健室リーダーのサポート】
保健室は市嘱託保健師が主となり運営していた。避難所エリアが広く、様々な団体・職種が日々交代で支援に来るため、全体の掌握やマネジメントにも時間を要していた。物資の不足を把握・調達したり、派遣スタッフへの説明など、実施可能なことをサポートした。
【医療相談について】
脳血管疾患により麻痺のある方、車いすや杖歩行の方、精神疾患や認知症、難病、高血圧、糖尿病、腎疾患など慢性的な疾患をもつ方に対しては留意して健康状態を把握した。また、集団の場に出向かず一日中段ボールのベッド上でひとり過ごす高齢者には声かけを行った。避難所生活が続き麻痺側の筋力が低下したと訴える方には、その場でできる体操を紹介したり理学療法士につないで助言をしていただいた。また気管切開部位の消毒やけがをした方の皮膚状態の観察等を実施した。発熱や感冒症状を訴える方には状態の把握と受診状況を確認し、悪化時の部屋の移動について市保健師らと検討した。
【訪問先の状況について】
・これから寒さが本格的となるうえ感染症の流行を考慮すると、一刻も早く自宅に戻ることができた り、仮の住まいに転居できることが望まれる。しかし被災後1か月を過ぎても1つの避難所に160 人以上の方が生活を余儀なくされており、自宅に戻るめどの立っていない被災者が大勢いた。
・外部からの医療・保健・福祉専門職が単発~3日程度で支援がなされていた。また、被災前から訪問看護を利用していた方には、避難所に訪問看護師が訪れ利用できていた。新たに介護保険の申請を手続きしサービス利用を検討している方もいた。被災地域が限局されていたため医療・福祉施設の壊滅的な被害はなく、行政の通常業務の保健サービスは再開されていた。
【あすなろの里での活動で気付いたこと】
・「避難者の方が1日でも早く退所できること」「生活機能を低下させることなく避難生活における二次被害を発生させないこと」といった「あすなろの里における支援者の共通目的」にそって活動した。訪問時は、一定の落ち着きを取り戻せた「フェーズ2~3」の段階であったと思われる。一方で、市保健師には疲弊があるのではないかと感じた。外部からの派遣団体・専門職は、現地スタッフに負担をかけずシームレスに活動できるよう配慮する必要があると感じた。
・幼児の遊び相手を同じ被災者の高齢者がしたり、大人たちが子どもを見守る光景があった。また、認知症高齢者の声かけや日常の世話を、被災前に同じ地域に住んでいた住民がサポートしている姿もあった。不便でストレスの強いられる共同生活の中であっても被災者同士が助け合い、コミュニティの再形成を図っている状況は、復旧・復興に向けたプロセスにおいてさらに重要になってくると感じた。
【その他】
・3週間ほど前に看護活動外でボランティアに入った際、悪環境下で自宅生活を続けるひとり暮らし高齢者を見かけた。避難所で生活をしない方、または避難所で生活ができない自宅滞在者の中に、保健・医療のサポートが必要な被災者が存在するのではないかと感じる。 ・市の今後の方針やリアルタイムな情報が見えづらい状況であった。また、外部からの派遣専門職がいつの時期に何人配置されるのかが現場のリーダーには届いていない状況であった。指揮を執る部署の明確化とかかわる関係団体の情報伝達・共有の重要性を痛感した。
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いまだ多くが生活をする避難所 | 要援護者用のラップ式トイレの環境整備 |