活動日:2016年5月7日
主な活動場所:阿蘇市保健センター、かんぽの宿、一の宮小学校、阿蘇医療センター
【本日の活動概要】
阿蘇市保健センターADRO阿蘇支部での保健医療調整、かんぽの宿、一の宮小学校での健康相談、一の宮地区DVTフォロー、阿蘇市災害対策本部会議、阿蘇医療センターADRO会議
巡回診療
大分大学チーム、HuMA、ALSO(Advanced Life Support in Obstetricsという周産期の教育コースを展開しているNGOのチーム)が実施している。保健師5府県16名が、避難所の巡回、全戸家庭訪問の活動を実施している。日本看護協会6名が一の宮小、阿蘇西中などに常駐し、健康相談をおこなっている。保健師による全戸家庭訪問は4月30日より実施しており、7日までに在宅戸数906戸、不在戸数470戸の計1376戸行い104.5%の家庭訪問を完了した。
<HuMA活動>
保健師と共に弾性ストッキング後のフォローアップ、内巻、西小園地区にて。避難所集約に伴う二次避難所予定の一の宮体育館と阿蘇第二体育館のアセスメントを市保健師さんと行った。問題点としては
1)洋式トイレがない、2)建屋が古くて不衛生、が挙げられた。トイレに関しては日本セーフティのラップポンを使用する案、風呂に関しては一の宮体育館は入浴施設とのシャトルバス案を保健師に提案した。第二体育館は周囲に温泉施設がたくさんあるのでそれら施設を利用する事が可能。
午後6時からかんぽの宿、一の宮小学校に巡回診療に行ったが、HuMAのリーダー医師と調整員、ALSOメンバー一名は午後6時から阿蘇市機関代表者会議に出席した。午後6時30分よりHuMA医師と調整員各一名は第22回阿蘇地域保健医療復興連絡会議(ADRO)に出席し た。
<大分大学チーム活動>
チーム交代があった。
・下肢静脈血栓症(DVT)活動:前任者からの引き継ぎで、弾性ストッキング装着後のチェックリストの作成を行った。
・避難所巡回:阿蘇小学校にて18時半より1時間程度行った。避難者は10-20人。嘔吐・下痢の傷病者はなし。1名風邪症状を訴える避難者がおり、避難所に常備されていたバッファリンの内服を勧め、症状持続時は医療機関受診を勧めた。
<ALSOチーム活動>
外部からの保健師チームにALSO部隊の活動を説明し妊産婦の問題があれば相談窓口になることを伝え、一の宮保健センターに待機した。新しい妊産婦の健康相談はなし。昨日保健師の電話聞き取り調査にてDVT疑いと評価され熊本温泉病院を受診した妊婦から、DVTは陰性であったとの報告があった。また、発災後4-5時間かけて妊婦健診に通っていた妊婦が無事出産したことが分かった。保健師と今後の支援活動について相談し、妊産婦に関しては現状把握と今後のフォロー準備が整ったことから、今回の支援活動は終了とすることになった。
阿蘇市機関代表者会議(18:00)
・自衛隊:入浴支援は阿蘇西小学校を除き本日で終了。以降は民間の温泉等で対応。8日はグランド内の整地、撤収する予定。
・支援物資等配布も5月7日で終了し、後は市にて対応。
・国交省:上空からの被災状況確認は視界不良により、8日に国総研室長ほか8名搭乗して実施予定。
・阿蘇市:上水道は市内全域通水。しかし敷地内の水道管破損等により一部の世帯で断水あり。
・避難所:広域消防本部(自主避難所)について、配食を7日昼で終了。避難者数(配食数)648名(前日546名。7日14時の指定避難所滞在者数105名(6日14時179名、20時333名)
・災害廃棄物集積状況:5月8日から農村公園あぴかにて対応、その間、未来館の災害廃棄物を排出する。市長より、行楽オートバイが非常に多いので警察で安全のため交通規制できないかと指示があった。
第22回阿蘇地域災害保健医療復興連絡会議(ADRO)
阿蘇医療センターにて18:30-20:30まで
HuMAからはリーダーの医師と調整員が参加した。
参加機関:熊本県医療政策課、阿蘇保健所、阿蘇医療センター、ADRO事務局、南阿蘇担当、西原村担当、阿蘇市担当(HuMA二宮宣文)、JMA、ADRO情報分析班、ADRO-ICT、阿蘇郡市医師会、阿蘇郡市歯科医師会、日本赤十字社、DPAT、阿蘇郡市薬剤師会、JDA-DAT(日本栄養士会災害支援チーム)、JRAT・阿蘇リハビリテーション広域支援センター、阿蘇消防本部、 阿蘇警察署
1)阿蘇医療センターの診療概要について
2)各エリアの活動報告
・南阿蘇村:閉院した立野病院の透析患者受け入れに問題が生じている。また地域医療再建の検討が必要である。
・阿蘇市:(報告者HuMA)
DVT予防の弾性ストッキング配布者のアフターフォローを開始しチェックリスト作成を着手した。阿蘇西地区の断水は継続しており、感染症対策が引き続き必要。医療ニーズは減少傾向で、保健師の訪問率も上がっているが、DVTなどアフターフォローの継続と共に避難所集約に伴い二次移転先のトイレ、ベット等の衛生環境を整える必要がある。
3)ADRO事務局より報告
災害時処方箋の支払いに関して
5月6日にADRO阿蘇地区災害保健医療復興会議の議題にあがった「災害時処方箋」により、処方した代金に関して不明確であるとの意見に保健所を通じ、熊本県業務衛生課に問い合わせて回答を得た。
・現在、支払いの手続きや方法に関しては検討中である。
・薬局等への周知に関しては今月中ぐらいになると思う。
・災害救助法に照らし合わせれば未払いはない。
・医師法の処方に関する必要事項が記載されていれば処方はなされる。
・処方箋の期限は明確に規定されていないが、通常の4日間と考えて欲しい。
<備考>
東日本大震災時の災害時処方箋の支払い手続きや方法の決定には、約3か月を要した。今回はその過程を基に考えれば時間の短縮は可能である。しかし、東日本大震災の時は処方箋に必要事項が未記入や平常時のような長期間の処方であった場合に支払いを拒否されたケースも多数あったとのことである。
4)ADRO
5月7日18時でのインフルエンザ、ノロウイルス感染症の発生状況は、過去24時間の阿蘇、南阿蘇、西原での発生は0であった。立野地区の方が避難している場所に保健所が入り、感染対策はできている、炊き出しに関する手袋、エプロン、帽子等は揃ったが手洗いの場所などから動線を考慮する必要があるとのアドバイスを受けた。
————————————
本日のNEWS
HuMAが先日行った一の宮体育館での健康相談と診察で、 左扁桃腫脹で腫瘍疑いがあった患者がいたので急遽紹介状を作成し、近位耳鼻科受診してもらった。
本日受診先の耳鼻咽喉科の院長先生より連絡があり、腫瘍を強く疑い熊本日赤に紹介したとのこと。
HuMAが医療相談時間の提示を事前にしっかり行い、災害支援ナースが要支援の方々を ピックアップしたことが、早期の確実な受診につながった。本ミッションは診療以外のさまざまな対応が多いが、その中でたった一人でも二人でも地道に対応していくこと、 小回りが利いて柔軟に対応できること、まさにHuMAの良さが活かされたケースではないかと思われる。
これも皆様の御支援のおかげです。今後とも何卒宜しくお願い致します!
![]() | ![]() |
第一次本隊はJPF様の資金ご提供によります。