お知らせ

2013フィリピン台風ハイエン被災者医療支援 2013年12月20日

第三次本隊 報告書

2013年12月20日・フィリピンレイテ島Merida町近郊のMahayag村

【本日の活動概要】
活動をいよいよ最終隊四次隊に移行すべく、昨日まで7人だった三次隊から3名が帰国の途に着きました。少人数での診療は開始前は不安でしたが、3名のメンバーがしっかりと申し送りをしてくれたので問題なく診療を行うことができました。

三次隊の成果 整然と並ぶ薬品帰国直前の最後のミーティング

Mahayagは人口669名、家屋196軒中181軒が全壊、台風による死者は出なかった山間部の村です。以前は多くの木で山の上から町を見ることはできなかったのですが、今では台風で木々が倒れてしまったので町を見渡せるようになっています。

現地の助産師によると、平時は月1回助産師が診療・処方を行いますが、創部処置などは彼らではできないので創部が大きい場合はRural Health Unit(RHU)に患者は行かねばなりません。しかし2日前に訪れたSan Isidro村ほどではありませんが道中は悪路であり、ハバルハバル(バイクタクシー)で片道50ペソ(約116円)支払わねばならなく、その往復交通費や他にもガーゼ、薬代を捻出できず未治療になってしまう患者も少なくないということです。この村は大半が農業ですが村民が収入を得ることが難しく、そうして未治療のまま亡くなっていくケースもあるとのことでした。HuMAの医師の診療と処方、処置について、現地助産師は本当に感謝してくれました。

この村では家屋の倒壊、電柱・電線の倒壊の現状がSan Isidro村同様、すぐに目につきました。電気は日々修理を行っているそうですが、まだ復旧には遠い状況です。また、道中“Plz help us”と書いた木の板が掲げられているのを見かけました。台風ハイエンの被害の大きさを感じ、この求められたhelpに少しでも我々が力になることができていたらと思います。

山間部の診療は本日で終了でしたが、日々、村の人々は温かく私たちを受け入れてくれ、多くの方が診療に来られました。アクセスの悪い患者さん達のためにこちらが出向いて診療を行うことができ、山間部で活動を行う意義はあったのではないかと思います。

Mahayag村ヘルスセンターMahayag村ヘルスセンターで診療
屋根が吹き飛び天井が落ちたヘルスセンター天井裏と診療室が同時に見える
子どもの母親に説明するHuMA医師活動終了後は、RHUのSolana医師へ診療報告

【診療報告】
本日は医師一人で診療を行ったが、受診者が38人と少なめであり特に問題は生じなかった。男性が8人(21.1%)、女性30人(78.9%)と女性の割合が大きかった。年齢は小児(0-15歳)が9人(23.7%)、生産年齢(16-59歳)は23人(60.5%)、高齢者(60歳以上)は6人(15.8%)と大きな偏りはなかった。

疾病、傷病としては数は少ないながら様々な疾患が診られた。中でも13歳の嘔吐、発熱の男児が印象的であった。一見して活気がなく、中等度異常の脱水が明らかであった。点滴による補液が必要と考えたが、HuMAは点滴製剤を携行していなかった。そのため、ODHへのreferをすすめたが、保護者である叔母は経済的理由もあって同意されなかった。ODHでは診察料自体は無料であるが、薬剤費などの実費は必要で、往復の交通費も必要となる。児の両親は彼を置いて家をでていっており、そのため叔母が養育しているとのことで、そのような例は珍しくないとのことであった。

チーム内で対応を検討し、ORSをその場でミネラルウォーターに溶かして、我々の診療が終わるまでの間少量ずつ投与するという処置を行った。幸いにもその処置により診療終了時にはやや全身状態が改善し、いったん帰宅することとなった。

今回はなんとか対応できたがHuMAとして点滴製剤を携行していなかったことが悔やまれたため、診療後に薬局へ行き、点滴製剤と点滴ルートを購入しておくことにした。本来は購入には医師の処方箋が必要とのことだったが、我々が医師を含む医療チームであることを店員が理解しており、購入することができた。

発熱・嘔吐の症状のある子どもを診断するHuMA医師いつも明るいRHUの看護師たち

*明日から4次隊メンバーが順次やってきます。