お知らせ

2013フィリピン台風ハイエン被災者医療支援 2013年12月19日

第三次本隊 報告書

2013年12月19日・フィリピンレイテ島Merida町のRural Health Unit

【本日の活動概要】
本日はMerida Rural Health Unit(RHU)で、HuMA医師がそれぞれ妊婦健診と一般診療の二部制に分かれ、RHUスタッフと共に活動しました。もともと毎週木曜日に行われている妊婦健診ですが、平時は15人平均のところ本日は32名の妊婦さんが来られました。通常は助産師が機械なしで健診を行っていますが、HuMA医師がエコーを使用して赤ちゃんの位置や状態などを検査しました。機械と産婦人科医の診察によって赤ちゃんの状態が正確に把握できる、ととても喜ばれました。妊婦健診のカルテを見せていただきましたが、健診はかなりしっかり行われているようです。とくに逆子かどうかという情報が重要で、逆子である場合、ハイリスクとして助産師達が毎週健診に来るよう伝えていました。妊婦健診の横でたまたまお産があり、可愛い男の子の赤ちゃんが産まれました。助産師が「Welcome to the world」と赤ちゃんに伝えている姿、赤ちゃんが産まれてすぐ元気に授乳している姿を見て大きなパワーをもらいました。

診療後はクラスターミーティングに参加しました。司会をWHOが行い、保健省 Department of Health(DOH)や他国際医療チームがミーティングに参加しました。DOHより、Ormoc地域は急性期を脱し現在復興期に入りつつあるという前置きがありました。それから疾病傾向として、下痢が再度増え始めている、特に18日に血性下痢の急増があったということが報告されていました。現在我々の診療では下痢は減少傾向ですが、今後Meridaでも流行する可能性はあり、RHUのMunicipal Health Officer:Solana医師に報告しようと思います。その他、先週話のあったデング熱については特に流行の兆しはないとのことです。

WASH(Water Sanitation Hygiene Program)からそれぞれの地域の危険度と危険度別の提案が出されました。水容器の感染が非常に恐れられていますが、その改善のためにポリ容器を配布しています。また、水を加熱することを推奨しています。メンタルヘルスの患者がRHUで250、Ormoc District Hospital(ODH)で74例報告されており、このような報告は3月まで継続する予定です。避難所の子どもの栄養失調が目立っており、上腕周径を測定するメジャーが足りないとのことでした。危険域に達している子供が増えており、UNICEFが早めに対処すべき、またメジャーの使い方も周知すべきであるといった話題が上がっていました。

地域の巡回診療の話題では「MeridaではHuMAが活動してるんだよね?」と振られる場面もあり、我々の活動が認知されてきていることがわかりました。今月末で活動を終える団体も多く、Ormoc内でのドネーションについて、リスト化して管理するという提案も出ていました。ミーティング終了後はWHOの新しい担当者に挨拶と連絡先を聞き、他団体と情報交換連絡先の交換などを行い、帰路につきました。

今日一般診療を担当したHuMA医師は、本日をもって派遣終了となります。山奥の村を訪ねた時の村人達の歓迎と感謝の笑顔と言葉が、派遣中最高の報酬であったとのことです。HuMAの活動は間違いなく被災者から感謝されており、しかし同時に災害支援としてのニーズは減少しつつあり、我々の活動も今年中に終了します。 災害支援を終了するに当たって、我々を感謝と歓待で迎えてくれた村人達に自分達ができたことは何なのか、できなかったことは何なのか、それを考えていきたいと思います。

【診療報告】
【一般診療】 Solana医師の横で午前中一般診療を手伝った。診療した患者は30人で男性は14人(46%)、女性16人(57%)であった。 年齢は小児(0-15歳)が13人(43.3%)、生産年齢(16-59歳)は10人(33.3%)、高齢者(60歳以上)は7人(23.3%)であった。村と比べて特に小児が多く見受けられた。

疾病群は村とあまり変わらなかった。 ここからは印象となるが、患者の反応はやはり村を訪ねた時よりも薄いと感じた。逆に言えば、やはりわざわざ山奥の村を訪問して診療することは被災者からとても感謝されていたのだと再確認した。

【妊婦検診】16歳から42歳までの32人の受診があった。20歳以下の妊婦は8名、30歳以上は6名であった。また初産婦は5名で5回目以上の妊娠の4人だった。助産師による問診、血圧測定や子宮底長の測定などの一般的な問診の後に、前回一次隊産婦人科医が行った内容に準じてV-SCANでの経腹エコーを行った。主に胎位、児頭大横径(BPD)もしくは頭殿長(CRL)の測定、胎盤位置の確認をした。

今回はreferを要するような妊娠後期での骨盤位や低値胎盤は認めなかった。数例で骨盤位であることを確認したが、週数が早いため、助産師による骨盤位体操の指導の後に経過観察となった。一名は前回の検診で助産師による触診で骨盤位を疑われていたが、今回のエコーでは頭位であり安心しておられた。また初診の妊婦で、最終月経からの推定週数が10週前半にも関わらず子宮底長が大きい方の週数の確認を依頼され、BPD以外の項目も測定した上で週数を決定した。

妊婦検診に伴い最終的な出産場所の予定も聞いたが、約半数がRHU、半数がDOHであった。RHUにおける妊婦検診と分娩の管理は助産師が行っており、正常分娩のみ扱っているとのことで、異常分娩で鉗子分娩や帝王切開が必要になった場合は全てODHにreferしているとのことだった。本日の検診中にも隣の分娩室で一名の分娩があった。

妊婦健診の様子はこちら

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