第二次本隊 報告書
2013年12月11日・フィリピンレイテ島Merida町近郊のCalunasan村
【本日の活動概要】
本日までHuMAチームは2名体制です。二人ともよく食べよく寝ており体調管理は万全です。早寝早起き生活にも慣れ、朝も仕事がはかどります。
朝食後は4WD 2台がHuMAチームの出発を待っています。以前にエンストした古い4WDは、今日からクーラーもよく効く新しいものにリニューアルしました。運転手はこちらの制限速度の指示を守り、安全を考慮し常に2台離れず移動をしてくれます。さらに運転手はここ数日診療中の写真・ビデオ撮影係までこなしており、もはやHuMAの活動に欠かせない人材となっております。今日も順調にMerida町のRural Health Unit(RHU)に到着しました。
いつものようにMunicipal Health Officer Solana医師と各種調整を行い、年末までのHuMAの活動予定が決まりました。今回の活動場所の調整は、各村の被災状況、Merida地域に入っている医療支援チームの活動状況(保健省 Department of Health(DOH)ダバオチーム、フィンランド人ボランティア医師)も含めた表を作成し、Meridaにおける医療サービスの全体像を把握し、従来の医療体制への復帰という大きな流れを常に意識しながら考えています。二次隊のリーダーがここに来て一番最初にした仕事がこの作業です。Solana医師によると11月は台風対応の特別体制、12月は一部だけ特別体制としていたが、1月から地元スタッフによる通常体制に完全に戻れる見込みだということです。よって外部からの医療支援も12月末で終了できるかもしれません。
本日の診療サイトはCalunasan村ですが、Meridaで一番高い山の名前がCalunasanだそうです。今日も4WDで未舗装路を進みましたが、昨日と異なり、今日は山道を歩かずにそのまま活動地まで到着できました。サイトでは30人程が既に待ち構えていました。RHU 予防接種チームと、HuMA一般診療チーム、それぞれ手早く準備して診療を始めます。この村は僻地ではないという扱いで、通常は巡回診療の対象となっておらず、台風災害後初めて医療サービスが行われることになります。HuMA医師2名が診療を、RHU看護師2名が受付、RHU看護師1名が薬局、RHU看護師2名とHuMA通訳が医療通訳を行いました。予防接種も一般診療も沢山の方が訪れました。
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昼からは、昨日も一緒に働いたフィンランド人ボランティアのHahtamaki医師が合流しました。よって午後からは3診体制になり、多くの方を診ることが出来ました。Hahtamaki医師は、午前中は以前に自分が診た下顎膿瘍患者をフォローするため患者宅を訪れ、自らOrmoc市にある歯科医のところまで連れて行っていたそうです。今日も患者の声に耳を傾け、患者への説明を大切にする、そして不要な薬は出さないという患者本位の診療スタイルを貫く異国の先輩の姿にたいへん刺激を受けました。
本日は、緊急の紹介ではないものの地元では対応しきれない疾患を持つ患者もおり、紹介患者も多かったです。昼休みは子どもたちと走り回って遊び、しっかり交流を深めました。そうして仲良くなった子どもたちが最後の写真撮影に参加してくれました。元気に走り回って遊ぶ子どもたちの笑顔に今日も元気づけられました。
診療後はRHUに戻り、再びSolana医師と話しました。今日はHuMA医師2名、Huhtamaki医師そしてSolana医師の4人が集まり、地域で経済的に恵まれないなど様々な苦労をもつ患者に対して医師として何が出来るのかという熱いディスカッションになりました。それぞれの国や立場は違えど、患者の命を救いたい、でも救命後にまた彼らに多くの困難が待ち構えていることは容易に想像できる、そんな複雑な思いに揺れながらも患者のために最善をつくすという医師の思いは共通していることを実感しました。
途中からクリスマスの話題となりました。フィリピンでは12月24から25日がクリスマス休暇です。当然RHUもお休みです。例年は町長がパーティを開くそうですが今年はまったく予定がないそうです。HuMAも診療活動の予定がない中で、クリスマスをどうやって過ごすのがいいかSolana医師に聞いてみたところ、Meridaの助産師が自分の村で子供達を集めてお昼にパーティをするから、そこに参加してはどうだろうかというありがたいご提案をいただきました。
現在、短期間の緊急支援だけでなく、より長期的で価値のある支援に繋げることが出来ればと、HuMAからMeridaへ何を供与できるか検討中です。医療の要のRHUで今必要とされている医療機器や不足医薬品など様々なものが考えられますが、慎重に調整や準備を進めたいと思っています。
Meridaの皆様に素敵なクリスマス&新年を過ごしていただけるよう明日からも頑張ります。
HuMA医師1名は、本日がMeridaでの活動最終日でした。現場で活動できるのは限られた期間ではありますが、その中でSolana医師や地元の方々と過ごした時間は大変貴重なものとなり、お別れの時はいつも寂しい気持ちになります。13日からいよいよ三次隊の活動が始まります。
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【診療報告】
Calunasan村での受診者は 99人で男性は36人(36.4%)、女性63人(63.6%)と他の村と同じく女性の方が多くみられた。 年齢は小児(0-15歳)が22人(22.2%)、生産年齢(16-59歳)は45.5人(45.5%)、高齢者(60歳以上)は32人(32.3%)であった。他の村と比べると、高齢者の受診が多かった。
疾病、傷病としては急性呼吸器感染症(ARI)が28例(28.3%)に認められた。抗生物質の投与を必要とするARIは4例認めたが、咳や風邪が大半であった。高齢者が多いため、筋、関節の痛みを訴える受診者が多く、鎮痛薬の処方も多かった。皮膚疾患が多く、ほとんどが創傷であった。3例で処置を必要とした。本日もデュオアクティブ(片面が粘着面となっている透明なフィルムで、水蒸気や酸素が透過でき中が蒸れないようになっている。一見バンドエイドのようなもの)が有用であった。 5例に対して後送病院紹介を行ったが、緊急性のあるものはなかった。1例は皮膚の腫瘍で手術を希望される方、1例は心不全の方、1例は前立腺肥大の方、1例は水頭症の乳児でCTを持参してきた。また、銃による小腸損傷で人工肛門を以前増設した小児が、閉鎖手術を希望してきた。
RHUでインタビューを行ったので下に記す。
・HuMAの外科処置後の資器材の滅菌について
→もし、HuMAが外科処置を自身の資器材で行った場合はRHUのオートクレープで滅菌をしていただける。
・RHUでのデング熱の診断について
→Saddle back型の発熱、嘔吐、腹痛、頭痛の症状が揃えば疑い、ヘマトクリット上昇、ヘモグロビン低下、白血球数低下、末梢血液中のリンパ球数上昇で診断している。抗体検査は行っていない。
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