お知らせ

2013フィリピン台風ハイエン被災者医療支援 2013年12月5日

第二次本隊 報告書

2013年12月5日・フィリピンレイテ島Merida町近郊のLibjo村

【本日の活動概要】
本日はスコールがひどく、9時にはBarangay Health Station(Barangayとは村の意)に到着しましたが、活動場所は至る所雨漏りで水浸しになり、 地元の方々と必死に水を汲み取りながら診療を続けました。

今日はスコールがひどかった看護師は薬剤管理も行います
受付にはいつも大勢の人が並ぶ薬を手渡すHuMA看護師
エコーが大活躍です 
看護師も大忙し 

昼食後は、チームは診療組と本日Ormoc市で開かれるミーティングへ参加組と分かれました。診療組は15時には終了し、Merida Rural Health Unit (RHU)に戻り本日の活動報告を行い、その後薬局に向かい不足物品の補充を行いました。ミーティング参加組は19時頃にホテルに戻りました。

Health Meetingに出席したメンバーによると、Merida町におけるHuMAの活動報告はきちんと共有されていました。日々の活動報告については、HuMAはその日の夕方に口頭で、カルテの複写とレポートを翌日の朝にMerida RHUに提出しています。それが保健省 Department of Health(DOH)やWHOに届くようになっています。

昨日は、MeridaのMunicipal Health OfficerであるSolana医師と、地元の医療体制とHuMAの今後の活動について話し合いました。Solana医師の意見では、地元の医療ニーズに対応するため元々土日休みのRHU看護師も 休日返上でHuMAとともに働いていましたが、発災26日目ともなり今後はできれば彼女たちにも土日は休みを取らせたい、 Solana医師も土日は休むとのことでした。また19日は平日ですが、地元の行事があるために診療はすすめないとのことでした。

実際にここ数日、HuMAが診療している沿岸部の村では、医療介入してよかったと思う患者はいるのですが、 土日を返上して見なければいけないほどの緊急性を要する方はいないため、被災者のためと思って休日返上で 働くことは、自分たちの体調管理上も好ましくないばかりか、被災者でもある地元スタッフの休日も奪ってしまい 「Do no harm」の原則に反してしまうと考えましたので、Solana医師の意見に従い土日には通常の巡回診療はしないこととなりました。

代わりに週末は休みをとったり、次の週に備えて資機材の整理、補充、書類をまとめたり、 余裕があれば他の地域を視察をしたり、もし緊急患者で診療の依頼があったときは診療したりするなどを考えています。

Solana医師からは、沿岸部の11村には巡回診療をすることができたので、今後は山間部の村を 巡回診療してほしいと要望を受けています。HuMAチームは安全面のリスクを考えて2輪車には乗らない方針を 取っていますが、今後は4WDを使って、医療アクセスが悪くニーズが比較的高いと思われる山間部の村への診療も検討します。

我々外部の者が支援に入る上で、平時の医療体制を意識することが必要です。このMerida町にあるたった一つのRHUは週5日8:00-17:00、分娩は夜間・休日も緊急受け入れ体制を敷いています。RHUの施設は屋根が飛んだそうですが既に修復されています。また、4つのBarangay Health Stationでは月に2-3回、予防接種拡大計画や新生児に対する活動をしており、22全ての村には月に1回、アウトリーチしているそうです。 沿岸部の村には概ね発災後1回は支援が入っていますが、 山間部ではまだのところがあるため、ここをカバーすることに意義があると思います。

雨の中、お疲れさまでした!Ormoc市にて。ミーティングの様子

【診療報告】
MeridaのRHUから海岸沿いに少し南へ、Libjoという村で巡回診療を行った。本日はHuMAスタッフ7名、RHUスタッフ3名での診療活動となった。診療場所はLibjoのBarangay Health Stationを借りることになったが、台風の影響か窓ガラスは割れていたものの、建物の中はフィラリアの予防接種や妊婦検診のポスターもたくさん貼られ、また置いてある物品もきれいに整理されており、台風前のHealth Stationとしての清潔感が感じられた。 導線や風通しを考慮し、皆で受付、薬局、診察室を配置後、診療をスタートした。

受診者は 122人で男性は31人(25.4%)、女性91人(74.6%)と女性の方が多くみられた。 年齢は小児(0-15歳)が35人(32.7%)、生産年齢(16-59歳)は49人(45.8%)、高齢者(60歳以上)は23人(21.5%)であった。本日は中高年の男性の受信者数が比較的多い印象があった。

疾病、傷病としては急性呼吸器感染症が44例(40.1%)に認められた。39例が咳や風邪で軽症が多かった。1ヶ月以上続く咳の患者が2名おられ、結核も疑われることから検査を受けるようRHUに紹介した。筋肉、関節の痛みでの受診は13例(12.1%)で、鎮痛薬の処方を行った。杖が必要なほど膝関節の痛みが強い2人は以前にリウマチを指摘されたが現在は財政上薬が飲めていない患者であった。外科的な傷病としては創感染が6例(5.6%)で、創洗浄処置を3例行った。10歳の女の子が道を歩いているときに釘を踏んで足底部の傷で受診された。足底部を洗浄し、破傷風ワクチンの投与を行った。Amoxillin(細菌感染症の治療に用いられる抗生物質の一つ)のアレルギーがあったため、Clindamycinを処方した。目のかゆみを訴えた患者が10人(10%)おり、眼痛も認めた1人は緑内障が疑われたため眼科医に紹介した。超音波検査は甲状腺嚢胞や乳腺腫瘤の患者に行った。乳腺腫瘤の患者はOrmoc Hospitalに紹介した。

昼休み中に、HuMA調整員が現地の子供たちに現地語を教えてと話しかけた。一語ずつ発音を確認しながらのコミュニケーションでみんなを楽しませ、雨の中でもすぐにたくさんの子供たちが集まった。かわいい笑顔があふれ、大きな笑い声がまわりに響き、それを見ている大人たちの顔にも笑顔がこぼれた。薬や医療技術ももちろんであるが、それだけでない、人を笑顔にする気持ちが大切と感じられるひとコマであった。

子どもたちと触れ合うHuMA調整員と看護師(右)