2013年11月28日・フィリピンレイテ島Merida町Department of Health(DOH)Health Center
【本日の活動概要】
1.保健省 Department of Health(DOH)Health Centerで妊婦検診、内科診察(医師2名、看護師1名)
2.セブ市へ薬剤等必要物品の購入(看護師1名、調整員1名)
8時半頃DOH Meridaオフィスに到着し、昨日の報告書とカルテの写しをChief Officerに提出しました。 8時45分から妊婦健診開始、医師2名で12時30分まで約50人の妊婦の検診を行いました。 週数の進んだ骨盤位の妊婦さん2人、前置胎盤の妊婦さん1人、妊娠高血圧の妊婦さん3人を拾い上げ、地元の助産婦に注意深く経過をみることを提案しました。被災地のニーズと産婦人科医師の専門性がマッチした一日でした。他にも内科診察を担当し、22名の患者の診察を行いました。内科疾患で継続療養が必要な患者や切開排膿が必要な患者も散見され、処置を行いました。
妊婦検診、内科診療はいずれも患者、DOHスタッフから好評でした。DOH Health Centerでの業務が初日から順調であるのは、ひとえに HuMAの豊富な人材と過去の協働の経験が いかんなく発揮されているからだと思います。
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33人の妊婦さんに対してエコーをおこなった | 内科診察を担当する医師 |
DOH Health Centerでの診療は巡回診療でのそれとは異なり、より実践的な診療に近く今後積極的に参画することが必要と考えられます。なお、今回は福島県飯舘村での健康増進活動事業で協同しているBHNテレコム支援協議会(BHN)様より衛星携帯電話1台を借用させて頂きました。通信難の環境の中、本当に助かります。
薬剤購入組は朝7時に出発し8時15分オルモック港発11時20分セブ港着、復路はセブ港発が最終便16時20分で、たった約3時間30分の短いセブ島滞在で、目的を全て果たすのに非常に苦労しました。
明日はまた別の村に巡回診療に行く予定です。
【診療報告】
MeridaのDOH(ダバオチーム)で、妊婦健診があるとのことで、HuMA医師、看護師各一名が手伝うことになった。他医師はDOH診療所での一般診療を担当。ダバオチームの医師2人とならんで診察を行った。
11月28日Merida DOHでの診察した患者数は一般診療で22人、妊婦健診33人であった。一般診療のうち、男性は11人(50%)、女性11人(50%)と同数であった。 年齢は小児(0-15歳)が7人(31.8%)、生産年齢(16-59歳)は13人(59.0%)、高齢者(60歳以上)は2人(9.1%)と小児の患者が多かった。DOH診療所に再診の患者が2人見られた。 疾病、傷病としては急性呼吸器感染症が12例(54.5%)に認められた。全例咳や風邪で、軽症が多かった。下痢症の患者は認められなかった。洗浄を必要とする小外傷が2例認められた。 高血圧症や喘息のような慢性疾患は認められず、目の疾患や不眠などを訴える患者が見られた。
妊婦健診は16歳から39歳までの妊婦33人の受診があった。1週間前は50-60人程度受診したそうなので、本日は少なかった様子。5人の20歳以下の若年妊婦を認めた。8回目、6回目の妊娠という妊婦は複数みられ、初産婦は9人(27.2%)であった。
Vscanを用いて全例に経腹エコーを行い胎児スクリーニングを行ったが、時間が限られていたため推定体重を出すところまでは測定できなかった。児頭大横径(BPD)もしくは頭殿長(CRL)は可能な限り測定した。 推定9~10か月で骨盤位の妊婦が2人おり、助産婦、本人と相談し、帝王切開目的にOrmoc Hospitalに紹介することとなった。推定4-5か月の妊婦で前置胎盤が疑われる患者がいたため、フォローアップを要すると思われた。
妊娠高血圧の患者が3人(9.0%)認められ、頭痛を伴う者が1人認められた。血圧のフォローアップが必要と思われ、助産婦に伝えた。 出産予定日は最終月経から計算して決定しているようであったが、エコーの所見をみると大幅にずれている症例も多かった。未婚の妊婦が19人(57.6%)と非常に多かったが、助産婦によると結婚はしていないが一緒に住んでいるということが多いそう。
Merida DOHでの妊婦健診は、若手助産婦2人が行い、ときどきベテラン助産婦が顔を出し指導していた。血圧測定、体重測定を行い、子宮底長測定、ドップラーで胎児心拍数を確認、葉酸を配布したり生活指導を行う、という流れであった。7か月までは1月に1回の健診で、7か月から毎週健診を行うそう。 DOHで母子手帳を無料で配布しており、母子手帳の中には妊娠中に気をつけることなどが詳しくイラストいりで書かれており、日本のものとかわらずしっかりしたものであった。
初産婦の場合、妊娠中に破傷風ワクチンを2回、経産婦の場合は妊娠中に1回接種するそう。日本と同様、妊婦の母親が一緒に来ている場合があり、一緒にエコーを見てもらうと非常に喜んでおられた。 骨盤位をエコーで診断し、紹介できたことは有意義であったと思われた。DOH Health OfficerのSolana医師も非常に喜んでいた。
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今日もたくさんの人が集まった | 暑い日々が続くがHuMAチームは皆元気 |