活動日:2018年1月4日
活動場所:Sayeman Beach Resort、DCHT建設中ヘルスポスト(Hakimpara)、 DCHTモバイルクリニック(Jamdoli)
【本日の活動概要】
SRH会合出席、建築状況視察、診療視察、他ホテル偵察
10時からSRH (Sexual and Reproductive Health) Working Group Meetingが開かれ、UNFPA (United Nations Population Fund)のナダ女医が司会を務めます。出席団体は母子保健に関わる30団体ほど。WHOから先日のヘルスセクター会議の報告に続きICRC (International Committee of the Red Cross)から4つの施設で提供している子供や女性へのサービスおよび妊産婦に対する24時間対応などの案内あり。Save the Childrenは妊産婦に対応するPHC (Primary Health Care)を建築中でありここも24時間対応。夜間対応の出産施設が着実に増えている様子です。続いて紹介システムや救急搬送システムについて報告がありました。司会のナダ先生のまとめとして、ミャンマー難民は本来自宅での出産が基本でありhost communityでも施設と自宅の出産は半々であり、民族の文化を尊重することも大切ではあるが、バングラデシュ保健省は施設での出産を奨励している。そのためにTBA (Traditional Birth Attendant)が各家庭を訪問することで出産設備を持つ施設にくるよう促すことが望ましいとのことです。
各施設の現状レベルおよび妊婦検診の集計をSRHに毎月末に報告するフォーマットをUNHPAデータ担当者より受け取り、会合はお開きとなりました。
会議終了後にHakimparaに向かい、13時に到着しました。建設中のDCHT (Dhaka Community Hospital Trust) ヘルスポストは、壁も屋根も半分ほど出来ています。トイレ区画の壁のレンガ積みも完成。同時に井戸も深めに130フィート(約40m)を掘り終わっていました。
14時すぎにDCHTのモバイルクリニックでJamdoli地区に視察に行きました。居住地は低い丘を切り拓いており、土地を囲むように翻るGの文字の旗から地区が統制されている様子が感じとれます。ブロックごとに入り口にはArmy Campがありモニタリングをしているため治安は良いです。本日のモバイルクリニックも細い坂を登って行ったごく狭い道で開いていましたが、このように不便な場所でも穏やかな笑顔を絶やさず診察しておられるDCHTスタッフに頭の下がる思いです。
DCHTスタッフへのインタビューを行い、ヘルスポスト完成後の活動方針を聞き出しました。丘陵地域に住み来院不可能な住民には、2人のヘルスワーカーが1日20世帯ほど家庭訪問を行い、必要と感じたケースには受診を勧める予定です。地域コミュニティとの関係も同時に構築していきます。ただ産気づいた患者に備えて緊急コールの電話番号を設けたいのですが、難民はローカルSIMを持っていないのでそこをどう解決するかは未だ不明です。基本的には日中しか診療せず、産後に母子が残らねばならないときには医療スタッフもヘルスポストに残りますが、近くのフィールドオフィスに寝泊まりしているのでその対応は可能です。紹介先の病院もUkhiya Health Complex (政府系でベッド数50)、またはCox’s Bazar Saddar Hospital (ベッド数150) と既に決めてあります。
その後DCHTヘルスポストに戻りました。これが完成したらこの地域では目を見張るほど立派な建物になると思われます。
夕刻、コックスバザール中心部に戻り、5次隊以降の隊員のために検討中のホテルを視察に行きました。治安面や設備だけのチェックでなく、日々、日本へ活動報告書を送付するためにもWiFiの強さと安定性を備えたホテルが必要です。医療支援だけでなく、このようなロジ業務も重要です。
遅い昼食をとりながら、PWJ(ピースウィンズ・ジャパン)の方と今後の方針について話し合いました。HuMAの1次隊2次隊の頑張りのお陰で、DCHTスタッフと大変良好な信頼関係が築かれています。これを基に今後は医療コーディネイターとしての役割を発展させ、診療支援に続き全体調整を主導して欲しいとの話でした。現在、ヘルスセクターとの調整(縦方向の調整)としては既にヘルスセクター会議やSRH会議に出席して種々の情報を収集し、必要な情報を選別したうえでDCHTと共有していますが、さらに重要性が感じられるのは他の医療系団体との調整(横方向の調整)です。PWJスタッフにHuMAスタッフが同行することで医療従事者の観点から情報を収集し、また同業者として相手方医療スタッフとの関係構築を円滑に進めることが可能と思われます。今後は、情報やネットワークを活用し、DCHTの活動をサポートすることが想定されます。具体的には、ヘルスポスト運営について他団体の優れた実践をDCHTに紹介する、健康教育活動の内容を近隣の他団体とすり合わせる、感染症の流行が懸念された場合に迅速に情報を収集・発信する、などが考えられるかもしれません。
明日の予定は、新ヘルスポストにほぼ隣接した医療施設数件を訪問しインタビューする予定です。質問内容もPWJスタッフと詰めました。
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Jamdoli地区でDCHTモバイルクリニック | DCHTモバイルてHuMA医師、診療支援を行う |