活動報告

産院支援をする看護師・助産師たち

七尾市の恵寿総合病院には、多くのHuMA看護師・助産師を派遣しています。派遣者の様々な報告をまとめました。

1月に発生した震災により、まだ院内ではひび割れた壁や水漏れした天井を大修繕中で、現在は産科が内視鏡エリア奥に間借りしています。平日になると、内視鏡検査の日帰り患者さんが多数行き来されますが、その中でベビーの沐浴のためのお湯を内視鏡エリアのシンクから取ったり、異なる動線での作業がいかに大変かを実感させられます。今までと違う場所を病棟、分娩室として使用したり、物品をまとめたり配置したりと、たくさんのご苦労や工夫が、安全な分娩、お母さんと赤ちゃんの命を守ることに繋がっていることを感じます。また、スタッフの方の指導は、まだ断水の家庭が多くあることを踏まえた沐浴指導や退院指導であり、いつもの当たり前が当たり前でないことに気づかされます。被災した状況で具体的にどのように子育てを進めれば良いのかを知ることができるのは、患者さんたちにとって不安が軽減される一助となるでしょう。

通常、日勤では、ベビーのバイタルチェック、ミノルタ測定、沐浴を行います。現在は沐浴もキッチンの水切り桶サイズの仮の沐浴槽ながら、どの赤ちゃんもとても気持ちよさそうに、静かに沐浴させてくれますが、お湯を上げると、おっぱい欲しい気持ち満載の泣き声が響いてきます。

病棟が落ち着くと、産まれたばかりのベビーの授乳支援にゆっくり関わることができます。ハンズオンで何回か説明すると、すぐにコツを掴んでくれるママとベビー。特にママがポジショニングのコツを掴むと、ベビーは、みるみる上手になってきていました。赤ちゃんって本当にすごい力を持っているな、と、いつも感動します。

 

 

夜間には赤ちゃんのお預かりも行います。貧血がなくても疲れが顔に表れる褥婦さんなどには、ゆっくり休んでいただきます。赤ちゃんは活気があり、お腹が減って泣いて、飲んだら排泄してお尻が気持ち悪いのか泣いて、オムツ替えたら出した分お腹が減ったのか泣いてと、とにかく元気です。しかし、身体にピッタリくっつくように抱っこして揺れると、すーっと入眠します。

そうだよね、お外に出てきてまだ数日、暖かさも揺れも恋しいし寂しいよね、と抱っこを続け、ベビーの寝顔に癒されます。「元気に生まれてきてくれてありがとう、出産おめでとう」も、こういう時だからこそ母児共に元気なことは、より尊く幸せなことだと感じます。お産の電話や緊急事態もなく、朝を迎えると安堵します。顔色が悪かった褥婦さんは、眠れたのか顔色も表情も良くなっていました。自宅の水が断水していた心配も解消され、こうして一つずつ問題が解決することにほっと胸をなでおろします。

今は使えなくなっている産科病棟を見学させてもらいました。現在の仮住まいのスタイリッシュな新病棟とは異なり、また違った歴史と温かみが感じられるLDR(陣痛から分娩、産後の回復までを行う部屋。震災後は手術室を臨時に使用中)がありました。桜の咲く頃には、再び賑やかに、産声が響いていることを心から祈る次第です。