被災地において、命が紡がれている実感が湧く日でした。産後の出血により母体は緊急の手術が必要となり、産婦人科長の新井先生をはじめ、産婦人科、麻酔科、病棟スタッフ、手術室スタッフの協力で、母体は一命を取り留めました。産まれた赤ちゃんは元気そのものです。
誕生したばかりの赤ちゃんは、HuMA助産師が別の部屋でバイタルサインの測定や状態の観察を行いました。頭の形を見ると、お母さんと一緒にがんばった様子がうかがえました。血色もよく、元気いっぱいに泣いていました。
しばらくすると、赤ちゃんはHuMA助産師の手を力強く吸い始めました。スタッフの許可を得て、ミルク補足を哺乳瓶で行いました。誰にも教わっていないにも関わらず、非常に巧みに、そしてしっかりと勢いよく飲んでいます。飲んだ後も上手にゲップを出しました。お母さんが大変なお産を経験した中で、この素晴らしい哺乳力は、今後の母乳やミルクの摂取において、非常に頼もしいことだと感じました。
その日は、スタッフが赤ちゃんをお預かりしました。お母さんは一晩中集中治療室で経過を見守り、安定した状態になったため、病棟に戻ることができました。
緊急オペの翌日は、穏やかな一日となりました。今回、HuMAチームの一員として参加したNPOロシナンテス産婦人科医は、ホンジュラスやシエラレオネなど、世界各地での活動経験が豊富です。普段はあまり接することのないであろう海外のお産事情などを共有し、スタッフの気分転換になればと、アフリカの周産期医療に関するミニレクチャーを行いました。
現在、恵寿総合病院への外部からの支援者は、HuMAを含めて3名です。病院スタッフの方は、支援者が参加することで負担が軽減されるとのことでした。HuMAは今後も支援を継続していく予定です。
「アフリカの周産期医療に関するミニレクチャー」より