第四次本隊 報告書
2013年12月23日・フィリピンレイテ島Merida町Rural Health Unit
【本日の活動概要】
一昨日の朝から雨が続いていおり、四次隊新メンバーはまだ、椰子の木々の間から夕日にきらめくオルモック湾の水面を見ておりません。
今日はMerida Rural Health Unit(RHU)のSolana医師が休みを取っているため、代理で一般診療を行いました。2診体制で午前診療のみ、45名を診察。11:00には気温29度 湿度81%、扇風機があればそれほど暑くはありません。
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RHUに到着。薬品や診療道具等をおろす | Solana医師が休暇にもかかわらず、 大勢の町人が診療を待つ |
午後はOrmoc市役所の2階にあるOn Site Operation Coordination Center(OSOCC)にてWestern Leyte Health Cluster Coordination Meetingに出席しました。WHO、Ormoc保健省、Ormoc市保健局、UNICEF、国際赤十字、オーストラリア赤十字、Medecins du Monde(世界の医療団)、サウジアラビアの国際NGOであるPAC(Physicians Across Continents)、イスラエルのIsraAIDなどが顔をそろえていました。トピックとしては、水の衛生・麻疹とポリオなど小児の予防接種・社会心理問題・アメーバ赤痢の監視・小児の栄養失調などが上がり、特に栄養状況緊急チェックのためのMUAC(上腕周囲径を測るテープ)の普及や予防接種の充実のためにUNICEFがリーダーシップをとることになりました。WHOはEmergency Health Kitとしてセットされた医薬品を要望に応じて配布する用意があると発表しました。
先週19日のヘルスクラスターでの議題のトップも、同じく水の衛生でありました。Jerry Canという水容器に浄水錠剤を入れることが推奨されていますが全く足りていないとのことです。その翌日20日にはSolana医師との雑談の中で偶然Jerry Canの話題が出ました。他のNGOから500個供与されたJerry Canが10リットルの容器だったために、通常20リットルの容器に1錠入れることになっている浄水錠を半分に割らなければならないのがかなり難儀であるとの話でした。そこでHuMAとして20リットルのJerry Canを1,000個、Merida地区の全22のバランガイへ供与する方向で動き始めました。Meridaには約6,000世帯ありますが、きっと乳幼児や妊婦のいる世帯を優先に配られることでしょう。撤収の27日までにあと1週間を切っています。通常は手配から輸送までに1週間以上かかり、しかも今はクリスマス休暇期間中で時間との戦いです。今までもかなり無理を実現してきたので諦めてはおらず、手配を決めた以上は最善を尽くす予定です。
夜には、BHN テレコム支援協議会のメンバー3人が我々をホテルに訪ねて来ました。HuMAの活動当初から衛星電話を貸して下さっていた通信NGOですが、携帯電話の電波が届かない山奥の診療で、どれほど心強かったことでしょう。HuMAが継続している飯舘村健康相談でも協働しておりますが、そこで毎月お世話下さっている横野参与がその中のお一人でした。1年前に飯舘村に行った時に意気投合し「また世界のどこかで会おうね」と言い合い、今ここで再会している、不思議なご縁を感じました。次はアフリカあたりでばったり会うかもしれない、とまんざら冗談でもなく笑っていました。
明日はクリスマスイブです。Mahalitという村で子供クリスマス会を催す予定です。
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わが子と同じ年恰好の子どもの診療に 真剣な表情の医師 | 当医師にとって本日が診療最終日。熱が入る |
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今日一番の年少の患者を慎重に診察する | 日本人医師の診療に緊張気味 |
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被覆材を器用に切る看護師 | 被覆材を貼るだけなのに、痛みをこらえようとする少女。ほほえましい。 |
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慣れてきたころに落とし穴がある。 正確性をきするため服用方法はみんなで確認 | 薬を用意する看護師たち。服用方法を説明する通訳。 服用の説明は正確に、と皆で真剣に取り組む |
【診療報告】
本日は12月19日ぶりにMerida RHUを訪れた。医師2名、看護師2名、ロジ2名で午前中のみの診療となった。
受診者は計45名で再診者はいなかった。男性24名、女性21名で年齢は15歳以下の小児31名(68.9%)、16-59歳11名(24.4%)、60歳以上3名(6.7%)であった。
ほとんどが上気道感染で27名(60%)と最も多かった。発熱患者の割合が比較的高いように思われた。外科的処置としては前頭部の挫創のあった1名に対して縫合処置を行った。その他、前日の犬に噛まれたという女児に対して予防接種のために紹介を行った。また1か月以上の咳、痰が続いている方もいたため結核の検査を受けるよう指示したところ、RHUにて後日可能とのことで、その日に来てもらうこととした。
二人体制で45人の診療であったので、それほど無理なく程よく時間をかけて診療が出来たように思われた。
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室内は電気がつかないために暗く、縫合術は屋外で。 | 縫合術の様子 |
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熱い屋外で奮闘する二人を、通訳をかってでた看護師が、仰いで風を送る |