お知らせ

2013フィリピン台風ハイエン被災者医療支援 2013年12月6日

第二次本隊 報告書

2013年12月6日・フィリピンレイテ島Merida町近郊のCambalong村

【本日の活動概要】
朝は恒例のMerida Rural Health Unit (RHU)でMunicipal Health OfficerであるSolana医師と面会。その後、地元の看護師3名および助産師1名と共に、本日の活動場所に向かいました。台風後、沿岸部の11村には巡回診療など行われていますが、山間部の村にはまだ支援の手が届いていないところがあるとのことで、本日HuMAはSolana医師の要請を受け、Meridaから内陸部にあるCambalong村に向かいました。この村は、人口783人(男性376人・女性407人)、5歳未満61人、被災世帯は214で、 4WDまたはオートバイ等でないと行くことが困難な場所にあります。

診療を行いながら子どもから大人まで村の人々に聞き取り調査を行ったところ、台風以前から、住民が現地で医療を受けるときは近隣のTubodかLundag村を訪れているそうで、Tubod村は月1回アウトリーチされており最後は10月16日であったとのことでした。またLundag村はBarangay Health Station (Barangayとは村の意)があり、月火水金は助産師が駐在しています。この村にはHealth Centerがないので、風邪をひけば上記の村へ行くか、水を大量に飲んだりして乗り切っているそうです。Meridaにある薬局は非常に高いため買うことができず、RHUのHealth Centerが無料で受診はできますが、薬に限りがあるとのことです。

我々は台風被災後に来た初めてのメディカルチームだと言っていました。

昼食後は、チームは診療組とミーティングへ参加組と分かれました。診療組は14時半には終了し、Merida RHUに戻り本日の活動報告を行うと同時に、以前ミーティングでも話題にあがっていたOrmoc市でのデング発生に関して収集した情報を 伝えました。現時点ではMeridaにおいては発生はありませんが、過去の経験から可能性は充分あるため対策を取るとのことでした。他には、12月後半のHuMAの活動場所について、アクセスに関する情報を確認しました。また12月中旬に妊婦健診が行われるそうですが、HuMAの医師が参加できるかどうか確認されました。

その後、RHUの向いにある災害対策センター Incident Command Center(ICC)に立ち寄り、本日付けの被災地の基礎データを入手しました。こちらでは各村の情報が週末以外は毎日アップデートされており、被災地の背景や状況の把握に大変役立ちます。その後薬局に向かい不足物品の補充を行いました。

子どもたちの笑顔はいつも明るい診療の様子
なごやかな雰囲気の中、診療は行われる 
HuMA看護師になつく現地の子ども聞き取り調査を行う調整員
看護師は今日も大忙し。でも笑顔は忘れません 

【診療報告】
昨日までは海岸沿いであったが、本日から、今までほとんど医療支援が行われていなかった山間部の村での巡回診療がはじまった。HuMAスタッフ7名、RHUスタッフ3名で、バスケットコート横の屋根のあるスペースで診療所を設営し診療をおこなった。活動場所からは遠くに海を眺めることもでき、ひらけた視界のなかでの診療は海岸沿いとは違う心地よさを感じながら行うことができた。

Cambalong村での受診者は 85人で、男性は24人(28.2%)、女性61人(71.8%)と女性の方が多くみられた。年齢は小児(0-15歳)が26人(30.6%)、生産年齢(16-59歳)は55人(64.7%)、高齢者(60歳以上)は13人(15.3%)であった。

疾病、傷病としては急性呼吸器感染症が53例(62.4%)に認められ,ほとんどが咳と風邪で軽症であった。1か月以上続く咳の患者は2人おり、結核の有無のため検査を受けるようRHUに紹介した。筋肉、関節の痛みでの受診は10例(11.8%)で、鎮痛薬の処方を行った。台風時に木から落ちて腰を打ち腰痛が続いている男性は、腰に草をはりつけていたが現地でよく使われる薬草とのことだった。外科的な傷病としては創感染が1例(1.2%)で、創洗浄処置を行った。超音波検査は甲状腺腫や乳腺腫瘤の患者に行った。乳腺腫瘤の患者はOrmoc Hospitalに紹介した。

診療場所の近くに小学校があり、十数人の子供たちが授業を受けていた。休憩中に子供達と話しをしていたHuMA看護師が、ひとりの女の子が足をひきずって歩いているのに気づき、診察所まで連れて来た。左足首に熱感、腫脹があり、台風の時に怪我した傷が原因の蜂窩織炎のようで、抗菌薬を処方した。いつでも周りに気を配り、‘気づき’をなくすことなく活動しているのは、医師も見習うべきであると感じた。

本日で二次隊の医師1名および看護師2名の派遣が終了となり、日本に向けて出発する。前チームがつくってくれた道から、二次隊医師が地元MeridaのSolana医師と話し合い、現地のニーズに答えた計画を立てたことでやりがいのある医療支援を行えたと感じている。また、たくさんの笑顔に出会うことができ充実した時間であった。初動調査隊、一次隊、日本で寄付やいろんな形で協力してくれる方々、すべての人々に感謝し、約1週間後にスタートする三次隊へとしっかりとたすきを繋ぎたい。

広がっていく絆