お知らせ

2013フィリピン台風ハイエン被災者医療支援 2013年12月3日

2013年12月3日・フィリピンレイテ島Merida町近郊のCasilda村

【本日の活動概要】
1.Merida Rural Health Unit(RHU)で前日の診療情報を報告
2.本日の診療をお手伝いいただく地元医療スタッフをピックアップし診療サイトへ移動
3.Casilda村にて医療支援活動(午前、午後)
4.Merida RHUにて本日の活動概要を報告し、宿泊地へ

本日も朝はMerida RHUにて、前日の診療情報を不在のMunicipal Health Officer Solana医師の代理を務める看護師に手渡し、活動を報告しました。本日の我々の活動を支援してくれるRHU看護師3名と共に出発し、RHUに隣接する町役場にあるIncident CommandでMerida町の情報収集を行った後に、活動場所であるCasilda村に向かいました。

Barangay Health Station(Barangayとは村の意)では、RHU助産師が別に予防接種などのサービスを提供しており、その隣の建物に本日の診療所を設営しました。村の人々は既に20人ほど列をなしていました。地元のRHU助産師よるとこの村では台風による死者が1名あったとのことです。

9時15分には診療開始。本日の医師2名、HuMA看護師3名、RHU看護師3名の8名体制で、ありがたいことにRHU助産師も時折手伝いに来てくれました。RHU看護師・助産師は以前にもHuMAの活動に参加してくれていたためスムーズに協働できました。 11時頃、受診者数が落ち着いてきたため午前診の受付を終了しました。

休憩時間に持参した携行食を食べていたところ、村の方が自主的に差し入れを下さいました。ご本人たちはいまだ大変な時期でしょうに、その温かなお心遣いに皆で感謝しました。

13時には午後の診療を開始しました。14時半には終了し、受付総数は、小児(15歳以下):33名、成人:48名の計81名でした。本日も快晴で日差しがとても厳しく、気温35℃、湿度70%、WBGT指数28℃になり、熱中症の厳重警戒が必要でした。各自が水を多めに持参して、こまめに水分摂取をしていますが、HuMA現地ロジも自主的に団扇で扇いでくれ、全員で熱中症を予防しています。

今日も笑顔で診察和やかな雰囲気のなかで診療はすすめられた
真夏のフィリピンにサンタ到来?診療所をのぞきに来る子どもたち

15時半にMerida RHUに到着し、今日の活動概略を報告しました。明朝は、2日ぶりに戻られるSolana医師と面会し、今後のHuMAの活動について相談する予定です。

地元の医療スタッフと。今日もありがとうございました活動終了後。海に沈む綺麗な夕日

その後、Ormoc市内のショッピングモールを現地調査しました。堅牢な建物にも関わらず、台風の被害が大きく2Fは閉鎖されています。スーパーマーケットでは物資は供給されているものの紙おむつなど一部の商品は供給が不十分と見受けられました。Ormoc市内の薬局にも立ち寄りましたが、大手チェーンの流通網によるものか、流通が回復しており商品棚は薬であふれていました。ここにない薬も数日で手配できるとのことです。

夕方には、ホテル帰着。車両トラブルなく今日も安全に移動できました。ミーティングをし、業務の役割分担を行ったあとホテルのレストランで夕食をとりました。ここは大変おいしい食事を提供してくれますが、宿泊者だけでなく近隣の支援団体も食事に来ているため混んでいて時間がかかります。夕食後も、資機材の所在確認を行ったり、不足物品については事務局に追加での手配を依頼したり、また各々で報告書作成など分担作業を行うなど、診療活動が終わってもやることは多々あります。22時には健康状態、進捗状況の確認、明日の行動計画を確認し、その後やっと解散となりました。忙しい毎日ですが、メンバーは全員元気です。

【診療報告】
本日、一次隊の3名が日本に帰るべくセブ島に戻った。一次隊の2名および二次隊3名の計5人、RHUの看護師3名、助産師とともにCasildasという海岸沿いの村で巡回診療を行った。

Casilda村での受診者は81人で男性は26人(32.1%)、女性55人(67.9%)と女性の方が多かった。これまでの村と比べると患者数は減少していた。

年齢は小児(0-15歳)が48人(59.3%)、生産年齢(16-59歳)は26人(32.1%)、高齢者(60歳以上)は7人(8.6%)とこの数日間とくらべると、小児の割会が高かった。

疾病、傷病としては急性呼吸器感染症が63例(77.8%)に認められた。58例が咳と風邪で軽症が多かった。4例は軽度の肺炎で抗菌薬を処方した。下痢症は4例認めたが、ひどい脱水症状を認める症例はいなかった。筋肉、関節の痛みでの受診は9例(11.1%)、頭痛は6例(7.8%)と鎮痛薬の処方が比較的多かった。外科的な傷病としては創感染が1例(1.2%)のみで、外科的処置を必要とするものは認めなかった。

髄膜脳瘤の少年の受診があった。生まれた時から鼻にこぶがあり、お金がなく病院は受診できないとの話であった。RHUのスタッフの情報で、Ormoc市に手術を無償で行ってくれる団体が以前に入ったとのことで、次回その情報が入れば彼の家族に伝えてもらうようRHUスタッフにお願いした。

重症者や処置患者もおらず、乳幼児の受診も多かったため、比較的和やかな雰囲気のなかで診療はすすめられた。小児への投薬は、RHUも協力してくれて不足なくおこなうことができた。

Casilda村では、台風時、その暴風で倒れた木の下敷きになり亡くなられた男性が1人いたとのことであった。診察時は皆明るい笑顔を見せてくれてたり、たくましく生きていると感じるが、その背景に様々な困難を抱えていることを忘れずに、これからも診療にあたっていきたい。

医療だけでなく生活面でも地元の方々に支えられている。日中電気が使えない中、ホテルの方々が手洗いでシーツを洗ってくれ、活動で疲れた体を気持ちの良いベッドで癒している。右は ハウスキーピングからの手紙。Thank you for helping Ormocと書かれたものが、綺麗に洗濯されたタオルに添えられていた