お知らせ

2015バヌアツ共和国サイクロンパム被災者医療支援 2015年3月24日

2015年3月24日・バヌアツEfate島、Moso島、Lelepa島

【本日の活動概要】
約一時間かけてエファテ島北部のPaunanguisに向かう。Shefa州保健省のsecretary Harrison氏が同行してくれた。他にもPaunanguisより車で5分程度のところにあるTakaraや、ボートで20分のMoso島、同じくボートで10分程のところにあるLelepa島で調査を行った。

 

【Paunangisu(Zone2)医療圏の概要】
人口は約4000人であり、Paunangisuには約1000人居住、西はMangaliliuから東はEpaoまでのコーストラインに居住する住民、および、Lelepa(411人)、Moso(239人)、Nguna(1479人)、Emao(767人)の4島を含む住民を含む。Paunangisu Health Center下に6つの診療所が存在しており、Community health workerが活動している。重症患者は、同じShefa州の首都Port Vilaにある中央病院にreferralされる。

① Paunangisu Health Centerの被害概要と現在の状況
Paunangisu Health Centerの責任者はNurse PractitionerのMr. Robinsonであり、医師はいない。現在、このHealth Centerには、Robinson氏とクリーナーと称する補助的人員1-2名程度が勤務している。もともとは助産師が勤務していた様であるが、諸事情によりここ最近はいない模様

施設の損壊状況:メインの建物(外来、処置質、薬剤管理庫)、入院病棟、カウンセリング室、スタッフ宿泊用の4棟からなるが、現在スタッフ用の建物の屋根がなく、入院病棟をスタッフ宿泊用として使用しており入院患者はいない状況。水は、雨水を収集して加熱して使用しているが、いわゆる雨樋が損壊していて十分ではない。飲料水/米などのストックはそれなりに常備している。水通栓からは水は出ない。電気は、cold chain用のソーラ発電のみ使用可能。携帯電話送受信可能。Health Centerには救急車が配備されており、使用可能な状態と思われる。

外来患者:20~30人/日程度、サイクロン後は軽微な外傷が多く、外傷後の軟部組織感染を認め、外来にて切開排膿が必要な患者が多い。感冒要症状患者の患者も散見されるが、マラリア、デング熱疑いの患者は現在まで認めていない。台風後にreferralが必要であった患者は数人で、外傷患者であった。妊産婦はTanna島と比較して少なく、災害後にHealth Centerで出産したのは2例であり、1例は古来の出産法により、もう1例はNurse practitionerにより問題なく分娩となっている。地域の乳幼児が、外来に栄養状態のチェックや予防接種のため検診に訪れる。

医療機材:簡単な切開排膿や、縫合が出来る機材は常備されているが、水の確保が困難であり滅菌に支障をきたし、同一の鋼製小物を使い回しせざる得ない状況。

薬剤:上述のように感染症の患者が多く、一部のペニシリン系などの抗菌薬が不足し、包帯、ガーゼも不足している。

入院病棟:現在、入院病棟の入院患者はいない。

②Takara community
ビーチに存在する村で、人口100から数百人程度。建物の損壊は著しいものの、皆生活を継続している。一部の住民は避難所となる学校で居住。電気はなく、携帯電話は使用可能。水道は一部復旧しているが、飲料水に関しては、UNICEFから提供された消毒材を使用している。乳幼児下痢症は発生直後に認めたものの、現在は治まっているとのこと。

③Moso島およびLelepa島
診療所を訪問し、現地の状況を把握した。4島のうち西側に位置する上記2島の被害は軽微。サイクロン被害の前より、災害に備えていたらしく、また、サイクロンの進路に西側に位置したことから建物の被害状況も軽微であった。診療所の被害はなく、Community health workerはここ数日以内から勤務を開始している。サイクロン後に感染症患者、発熱患者が増加していることはなく、Mosoでは1日数人、Lelepaでは、サイクロン発生後からの外来患者合計が数人という程度であった。住人の健康状態もよく、食料・飲料水とも確保出来ている。

Paunangisuより東側は大木がなぎ倒され、もともと緑豊かであった景色が一変している。蚊の増殖予防のため所々で野焼きされており、煙がそこら中で立ち上がっていた。屋根もほとんど吹き飛んでおり、水は川から引くか、もしくはUNICEFから送られたwater purification tabletを雨水に入れて使用していた。アセスメント終了後は、保健省に行き本日の報告を行った。

情報収集開始診療所の建物
建物は被害にあっても、子どもの笑顔は明るい