HuMAが担当する救護所では、今日も医師が声をかけながら回ることによって体調不良者の診察につながりました。しかし、救護所を訪れる受診者の中には、「近所の人に行ってみたら、と言われた」という方が多く、一人で避難している方や家族のサポートが薄い方はなかなか受診にたどり着けない現状が浮かび上がります。こちらからの声かけと回診は、潜在的患者の発見に効果的で続けていきたいと思います。また、診療が有料と思っている方もおり、無料であることを周知する必要があります。
巡回診療もおこなっています。ある診療所を訪れていた時、通りがかりの地元のボランティアさんより声がかかりました。瓦礫の下敷きになって痛かったところを、ずっと我慢していたことが判明しました。他の施設では前回訪問時よりも人数が減っており、日中は高齢の方が一人で過ごされていました。HuMA看護師が時間をかけて傾聴すると、患者さんは外までお見送りに来てくれました。
各巡回診療先では、2次避難で人数も減少しており、医療ニーズも下がっていますが、訪問先での声かけを続け、孤立した人々をサポートします。
元気な日々を取り戻すために:被災者の願い
HuMA看護師と被災者との会話で得たエピソードによれば、震災前は元気だった年配の方々が、震災後に寝たきりの状態になったとのことです。診察や治療をおこなう我々医療スタッフに感謝の念を示してくださり、次なるお願いとして、年配の方々を元気だった頃の姿に戻してほしいと切望されました。
寝たきりの方々の手を取って一緒に外に出たい、以前のように動いてほしい、という思いを抱えつつも、被災者の方は自らやらねばならないことが山ほどあり、それを実現することが難しい状況です。そのため、我々に、被災者と共に行動し支えてほしい、という切実な気持ちを伝えてこられました。「ごめんね、こんなこと言って。私達ができればいいけどできないの。」という一言には、被災者の複雑な心情と現実の厳しさが反映されていました。
被災者たちの心の支えとなり、共に未来に向かって歩むパートナーとしての存在が求められていると感じました。