HuMA現地活動の速報
6月13日~ 20日 |
第1班として鵜飼 卓(医師) 松下朋子(ロジスティック担当、建築士)がイランに派遣されました。 |
6月17日 | 鵜飼理事長 テヘラン市民協議会(バム駐在事務所)ダリジャニ氏との間でZone5ヘルスセンター新仮設診療所設置支援事業において合意覚書を交わしました |
イラン南東部地震医療復興プロジェクトが開始されます。 | |
イランバム地震保健医療復興支援募金のお願い。 | |
7月21日 | 第2班として松下朋子(ロジスティック担当、建築士)と林晴実(看護師)の二人が日本を出発しました。 |
8月1日 | 第3班として弘中陽子(看護師)が日本を出発しました。 |
8月2日 | バム市にてダリジャニ氏と用地に関する第二合意書交わし、用地が確定しました。 |
8月3日 | イランバムの保健医療復興支援場所がZone5に確定しました。 |
8月5日 | 第4班として辻 修次(ロジスティック担当)が日本を出発しました。 |
8月8日 | 第2班の松下と林が帰国しました。 |
8月9日 | 仮設ハウス”コネックス(Connex)”の発注以来をポルタルキャラバン社に決定しました。 |
8月11日 | ダリジャニ氏と新用地を視察。整地工事をイラン側で進めることを確認しました。 |
8月12日 | 第4陣として矢野和美(医師)と石井美恵子(看護師)が日本を出発しました。 |
第1班 活動報告(林・松下) | |
8月16日 | 第3班の弘中が帰国しました。 |
8月19日 | 第4班の辻が帰国しました。 |
第2班 活動報告(弘中・辻) | |
8月20日 | 整地工事開始。 |
8月22日 | 第6班として斉藤容子(ロジスティック)が日本を出発しました。 |
8月26日 | 第5班の矢野と石井が帰国しました。 |
9月15日 | conexが無事到着しました。 |
9月20日 | 林晴実が再度イランへ出発しました。 |
9月21日 | 電気配線、水道配管工事が開始されました。 |
9月30日 | 松下朋子が再度イランへ入りました。 |
9月30日 | 新UHCのオープニングセレモニーが執り行われ、イラン保健省へ正式受け渡しが完了しました。 |
イランバム保健医療復興支援プロジェクト
ジャパンプラットフォームから民間支援助成金交付の内示を受けて6月13日から20日まで、HuMA事務局の松下さんと鵜飼理事長があの大地震の被災地バムとテヘランに調査に行きました。
HuMA現地活動の速報
バムでは仮設住宅の再建が急ピッチでしたが、今なお瓦礫の撤去がすすまない街中にはテントが沢山立っており、日中40度を越える暑さの中、人々はきびしい生活に耐えているようです。バムに三つあった病院は壊滅し、そのうちの一つ、アルファトニアン病院では補修再建すべく工事が行われていました。また、中核的な病院だったイマームホメイニ病院は、プレハブの仮設建物で外来診療が行われています。しかし、X線室はあっても自動現像器が壊れて修理ができないのでレントゲン写真1枚すらとれない状態です。(写真右:イマームホメイニ病院救急部) | |
国際赤十字連盟とイラン赤新月社とが共同で運営しているIFRC病院はテントで診療をしていますが、1日外来700人から900人、入院病床は60床で運用しているとのことでした。少し複雑な患者さんはすべて州都ケルマンに転送しているそうです。ちなみにケルマンまでは2時間半かかります。診療に従事しているのはすべてイラン人で、国際スタッフは統計などを取っている数名の医師がいるだけだそうです。 (写真右:ゾーン5のヘルスセンター内部) |
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バムの街は行政機構も壊滅したので、12のゾーンに分けてイランの各州がそれぞれのゾーンを管理していますが、街の中心部(ゾーン5)はテヘラン市民評議会が管理しています。このゾーンのヘルスセンター(日本でいうなれば保健所と診療所を兼ねたもの)がいまだにテントの過酷な状況下で活動をしております。 (写真右:ゾーン5のヘルスセンター外観) |
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ジャパンプラットフォームの助成金を受けて、イラン南東部の保健衛生復興支援を行うことになりました。 | |
・期間は2004年7月から8月の2ヶ月間 ・方都市のヘルスセンター(保健所と診療所機能を持つ施設)にコネックスと呼ばれるプレハブ建物と医療資機材を供与します。 ・HuMAから医師・看護師などを派遣して、ヘルスセンターで働くコミュニティーヘルスワーカーや看護師と協力し、保健衛生の改善を支援します。 |
イラン南東部地震 保健医療復興支援募金のお願い
昨年12月26日早朝、イラン南東部の町バムを中心に強い地震が発生し、26,500人以上の死者が出ました。この町と周辺とをあわせて震災前の人口が約12万人だったので、実に5人に1人以上の方々が犠牲になるという、想像を絶する大災害でした。医療機関も壊滅状態で、数日後から日本国政府派遣の国際緊急援助隊医療チーム(JMTDR)も含めて、諸外国からの救援医療チームも多数現地入りして活動しました。
6ケ月を経過した今日、町にはなお沢山の瓦礫が残り、仮設住宅の建設が行われてはいますが、日中の気温が摂氏40度を超す暑さの中、人々の多くはまだ狭いテントで生活しています。3ヶ所あった病院はまだ殆ど機能しておらず、国際赤十字連盟とイラン赤新月社が運営するテントの病院(60床、外来700~900人/日)で診療が行われています。
また、イランでは保健・医学教育省の管轄で、ヘルスセンターとヘルスハウスという保健施設が保健医療の末端を担っておりますが、この多くがやはり壊滅しました。今日でもこれらの施設はテントで活動しています。
特定非営利活動法人 災害人道医療支援会(HuMA)は、震災直後にもJMTDRの中に7人の会員を送り込んで緊急医療援助に関わりましたが、この度ジャパンプラットフォーム(JPF)の民間助成金の資金を受けて、バム市中心部の保健所兼診療所(アーバンヘルス センター)にプレハブの仮設診療施設と医療資機材とを供与し、あわせて日本から医療スタッフを派遣してこの地域の人々の保健衛生状態の改善支援を行うことと致しました。このセンターでは1日50~60人の患者が診療を受けに受診しているほか、予防接種や妊婦検診、母子保健、慢性疾患の指導などを医師1人と5人のナース達が中心になって行っています。
JPFの資金は主にプレハブ施設の建設と機材購入に充当しますので、保健衛生状態の調査やその改善策の立案と実施というソフト面での活動と市民への直接的な保健衛生サービスの資金が必要です。
あまり長期の活動ではありませんので(2~3ヶ月の予定)ので、募金目標額を2百万円といたしました。
このHuMAが実施致しますイラン南東部地震被災者支援プロジェクトにつきご理解を賜り、募金にご協力くださいますようお願い申し上げます。
2004年7月
NPO法人災害人道医療支援会HuMA
理事長 鵜飼 卓
副理事長 山本 保博
第1班 活動報告
派 遣 者:1)林 晴実(看護師) 2)松下 朋子(ロジスティック担当)
派遣期間: 2004年7月21日(水)~ 8月7日(土)
〈派遣目的〉
1) 鵜飼理事長が6月に現地入りし、バム市中心部のゾーン5にアーバンヘルスセンターを供与し、そこに必要な医療資機材の供与をするという方針を固め、地盤を作ってきた支援案に基づき、実現に向けて具体的に動くこと。
2) ゾーン5またはバム市民の健康・保健衛生調査をすること。
〈実際の活動〉
7月21日(水)日本を出発し、翌22日にテヘラン入りした林晴実と松下朋子は、直ちにイラン側コーディネーターVigen Haghverdian氏とともに保健・医学教育省Malek氏と会談。イラン保健省(Ministry of Health, MoH)・WHO・各国NGOの3者から成る共同体CB(Cooperation Board)がその週に結成されたばかりでした。今後ヘルスセンター建設を始めとする保健衛生関係プロジェクトの調整をCBが行うことが決定されました。
バムの保健医療の調整者であるDr.Abassiからは、各ゾーンの医療状況から優先度を考えて、ゾーン11にコネックス供与をするように推奨されましたが、最終的には当初から予定していたゾーン5ヘルスセンターの仮設診療所の供与を再度申し出て、HuMAが担当することがMoH,WHOを通じて決定されました。 テヘランの保健省内WHOオフィスにおけるCB meeting 、バムの国連キャンプにおけるCB meeting 、General meetingにも出席。関係者多数と会談、意見交換をし、現地の人脈を作ることが出来ました。 |
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また他方でコネックス会社を複数訪問し、各社の信用度・使用している材質・見積もりなどを検討した結果、Porta Caravan社の印象がよく、次の派遣チームへさらに詳細を詰めてもらうよう依頼しました。 | |
ゾーン5の現在テントにて行われている診療所を訪問し、必要物品、供与すべき医療機器などを調査しました。また他ゾーンのヘルスセンターの見学から得たアイディアや、ゾーン5の医師の意見をもとに、コネックスの設計案を作成し、発注手配へと急ぎました。 ヘルスセンターおよび医療機器の供与の他に、どのような支援の可能性があるかを模索したところ、他国NGOの行っていた看護助手のトレーニングプログラムを見学させていただきました。 |
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現地で問題となっている疾患は、アヘン中毒・うつ状態など、心理的問題や顔に傷跡を残す salak という虫の存在などがありました。特に切迫した伝染病などはありませんでした。また、小児のワクチン接種などはいきわたっている様子でした。 | |
今後は、2班の弘中・辻、3班の石井・矢野がコネックスの最終設計と契約まで進める事になっています。受け入れ予定地の整備・上下水・電気などの準備も平行して行われる予定です。また、供与する医療資機材の発注も行われる予定です。 |
第2班 活動報告
派 遣 者:1)弘中 陽子(看護師) 2)辻 修次(ロジスティック担当)
派遣期間: 2004年8月1日(日)~ 8月19日(土)
紆余曲折があったものの、当初から計画していたバム市ゾーン5のアーバンヘルスセンター(UHC)への仮設建物(コネックス)の供与が決定したこと(第1班にて)をうけ、第2班はコネックス会社の1つ、ポルタキャラバン社(在テヘラン)と購入契約を締結した。この契約は、イランの商習慣を尊重し、契約締結時半額、納入確認時半額の現金決済とすることとした。
バムにおいては、ゾーン5の行政担当官ダリジャニ氏と会談し、確定したコネックスの建設用地の整地、基礎工事、水道と電気、電話の装備をイラン側の責任において行うことを再確認した。
他方、現在なおテントでの活動が続いているゾーン5のUHCの看護師、助産婦、コミュニティーヘルスワーカーの業務をモニターし、UHCに不可欠な医療資機材などの調査を行った。診療に必要な資機材はほぼそろっていたが、現場の看護師などからいくつかの要望もあり、、その妥当性を検討した。また、ゾーン5のUHC整備を参考とするため、近隣のUHCの活動をも視察した。
被災地調査を通じて、情報の収集方法とその評価・分析手法の確立と、さらなる研修と今後のミッションのための課題であることが痛感された。