企業・団体向け(災害医療救護活動など)

2014.06.07-8 日本山岳ガイド協会ファーストエイド研修

「日本山岳ガイド協会ファーストエイド研修」は野外医療、救急医療の得意なHuMAが年4回依頼を受けて実施している事業です。現在、日本の山で起こる1年間の遭難事故は約2,000件以上で、その内200人以上が死亡しております。よって最近では、ヨーロッパと同様に山岳ガイドが顧客の安全を請け負って山登りをするというスタイルが一般的になっています。現在、日本にはガイドが約1,300名おりますが、国家資格ではなく、ガイド協会が試験、実技で認定する方式をとっています(*ガイドは自然ガイド、登山ガイド、山岳ガイド、登攀ガイド、国際山岳ガイド、でランク付けされる)。

年間ガイド試験を受ける人は約200名、合格率は60%です。日本の登山人口は約1,000万人いますが、大学山岳部、町の山岳会の衰退で指導者・講師不足が事故の要因の一つにもなっていることから、HuMAはこのガイド達に任意で野外でのファーストエイド(FA)を教えています。
遭難事故の増加と共に山岳ガイドの役目はいろんな意味で高まり、環境庁からもFAは必須が望ましいとの意見が寄せられております。

研修の内容は、1泊2日で初級研修を、更新研修(資格のある者は3年に一度)は2泊3日で行う予定で、更新研修はレスキューも入ります。
疾病、外傷の重症度、緊急度の評価の仕方、
外傷の基礎、蘇生術、包帯法、三角巾法などを学び、
更新研修は高山病、凍傷などの話が加わりますので、医師が講師を行います。山の遭難も時には「集団災害」様のものになり、年間200日以上山で仕事するガイドにとって、FAは必要不可欠な知識であることは間違いありません。

医療に関しては難しいところもありますが、非常に熱心に学習してくれます。今年2014年でこの事業は7年目となりますが、平時からのこのHuMAと日本山岳ガイド協会の繋がりにより、我々HuMAも2011年東日本大震災や他海外災害医療支援において、日本山岳ガイド協会には力強いロジとして度々支援して頂いております。

実習の様子

講義の様子

日本山岳ガイド協会ファーストエイド研修
日時場所:2014年6月7-8日。長野県上高地日本山岳ガイド協会アルプス山荘にて
対象:国際山岳ガイド資格者から自然ガイドまで

受講者:12名(長野県のガイドを主とす)
HuMA派遣員:医師3名、看護師2名、救命救急士1名

【講義】
1. 人体の生理と解剖の基礎
2. 登山の運動生理学
3. 登山の栄養学
4. 傷病者の重症度と緊急度
5. 人工呼吸、胸骨圧迫、AEDの基礎
6. 熱中症
7. 低体温症
8. 凍傷
9. 高山病
10. 山での突然死(脳、心疾患)
11. 外傷の基礎
12. 急性腹症
13. その他(アレルギー、虫さされ、動物咬刺症etc)

【実習】
1. 傷病者のみかた(全体、部分的に)
2. 包帯、三角巾法
3. 外傷の応急処置(含む止血法)
4. 骨折の固定
5. テーピング
6. 蘇生法
7. 模擬外傷患者の総合演習