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2011トルコ東部地震被災者支援事業速報
TURKEY EARTHQUAKE



第5報;先遣隊
Assessment Team

Van State Hospital 熱傷ユニットの設備見学中
Van State Hospital 熱傷ユニットのスタッフと記念撮影

2011年11月3日
  Van State Hospital 熱傷ユニット訪問
  昨日に引き続き、震災後のキャンプにおける熱傷患者に関する調査のため、市内にあるVan State Hospital (Van Training and Research Hospital)を訪問しました。まだ完成したばかりという510床の大きな病院で地震による被害は特にないとのことでした。日本でもあまりみかけない熱傷専門ユニットがあり、責任者のDr. Cumhur Cakirジョムフル・チャキル医師から今回の震災による熱傷患者についてヒアリングを行いました。

 ジョムフル医師によれば、震災後3日ほどたってテント生活が始まってから熱傷患者が増えましたが現在は減少傾向にあり、その要因はガスコンロの使用を禁止するキャンプが出てきたからとのことです。発災から今日まで、こちらの熱傷ユニットでは14例の熱湯による熱傷、2例の火焔熱傷を診療したそうです。ほとんどはワン近郊のテントサイトから来た患者であり、エルジシュを含めればもっといるはずですが、エルジシュのデータは把握していないとのことでした。データが得られないのは熱傷に関してだけなのか、そこまで調査が及ばなかったのか不明ですが、医療チームが入れ替わることも原因の1つのようです。正確なデータの把握、関係者間でのデータの共有は今後の課題として考えられます。

 震災前の状況と比較すると、こちらの熱傷ユニットではワンを含む7つの地域(人口約350万人)をカバーしており、通常1年に700人以上の患者をみていますが、そのうち15%がパンを焼くかまど(床に穴があいているタイプ)に落ちるなどのかまどによるもの、50〜60%が熱湯による熱傷、そして5〜6%が電気によるものです。震災後はかまどが壊れたりしたせいか、かまどによる火傷患者はなくなり、代わりにテントから搬送されてくる熱傷の症例がほとんどだそうです。 狭いテントの中ガスコンロでお湯を沸かすことは、特に子供が犠牲になりやすく危険な行為ですが、お茶(チャイ)を日常的に飲む文化においてはなかなかやめることはできず、親への教育、特にテントキャンプなどでは入居前にしっかり説明することが必要です。

 キャンプでの熱傷対策としてHuMAから3つの解決策の提案をしました。@ストーブのまわりに安全柵を設ける、Aキャンプサイト内に、お湯による熱傷予防のための注意喚起のポスターを掲示する、Bテント内でのガスコンロの使用を禁止して、かわりにキャンプサイトにチャイまたはお湯を提供する場所をつくる。この3つのうち、どの案がいいと思うかとの問いに対し、ジョムフル医師は@とAはよいが、Bはおそらく住民が言うことを聞かないだろう、とのことでした。

 熱傷対策に関してはこれまでワン対策本部(VCC)の最高責任者や医療担当者、その他病院医師などに対し、HuMAからの提案を行ってきましたが、その必要性については大いに賛同を得ることができました。しかしながら関係者はその必要性を認識しながらも、これまで確たる対策がなかったようで、トルコ人にとって日常生活の大事な一部であるお茶を飲むということに関わるので逆に見落とされているのか?とも思われました。また熱傷だけでなく、火事になる恐れもあります。実際に過去の震災でテント内でのガスコンロによる火事はあったということなので、この問題は決して見逃されるべきではありません。HuMAとして先に挙げた「注意喚起のポスター」を滞在中に作ることとし、VCCの最高責任者のターシン 氏に提案することとしました。

 Hacettepe大学ハ―カン准教授、UNOCHAフェルナンド氏との会食
 午後の便でアンカラに向かいました。アンカラでは今回のHuMAの活動に多大なる貢献をしてくださった重要なキーパーソンであるハチェッテペ大学公衆衛生学のハ―カン准教授との面会、そしてお世話になった日本大使館への報告を主な目的としました。

 大学の災害研究センターの副代表も務めるハ―カン准教授は、2009年にJICA大阪で行われた救急・大災害医療セミナーの研修員です。この研修は在外JICA事務所を通じて海外からの研修員が日本に来て、救急医療と大災害医療に関しての日本のノウハウを学び、自国の仕組みや体制の改革・改善に役立ててもらうというもので、ハーカン准教授やウフク医師はこのために1カ月間日本に滞在しました。今回の初動調査では、短い期間で効率よく調査ができるよう重要なコンタクトパーソンの紹介および情報提供、そしてワン到着後も引き続き行く先々での紹介など手厚いサポートをしていただきました。

 夕刻アンカラ空港に到着し、ハ―カン教授とUNOCHAカイロ事務所からワンの調査にきていたフェルナンド氏に会いました。フェルナンド氏は2008年にシンガポールで行われたUNDAC(United Nations Disaster Assessment and Coordination)国連災害評価調整チームのトレーニングに今回派遣された看護師と共に参加しており、今回幸いにも会えることとなり貴重な意見交換ができました。 ハ―カン准教授によると、トルコ政府が海外からの支援を断った理由のひとつとして、1999年のコジャエリ地震以来、国をあげて構築に力をいれてきた災害対応システムの効果を試す意味もあり、しかし懸念されるイスタンブールでの大地震が起きれば、被害は甚大であることが予想されるため、海外からの応援を求めるより他ないだろうとのことでした。また、今回の重症患者の対応については遠隔地の病院に搬送されて数日後に亡くなったケースも複数あり、搬送先の病院の質について今後検討が必要だと言っていました。

 また今回の災害対応の中心を担った政府の災害対応チームUMKE(National Medical Rescue Team)の仕組みについて聞いたところ、ボランティアベースで各地に散らばる登録者が災害発生時に出動するなど、日本のDMATと仕組みが似ていることがわかりました。DMATと異なるのはDMATが発災後72時間を主な活動期間と定めていることに対し、災害対策当局(AFAD)は特に期限を決めずに活動しており、内容も急性期から慢性期まで幅広く対応しています。今回の震災ではUMKEは約1カ月を活動期間と定め、亜急性期にあたる現在は町から離れた村々への巡回診療も始めています。

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