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HuMAの活動
平成28年熊本地震被災者医療支援


2019年HuMA熊本地震被災者医療支援評価 及び被災地の災害対応能力向上に向けた取り組み

全戸訪問について


1. 妥当性・適切性
今回の3年後のフォローアップ調査で訪問した家庭4件では、HuMAチームによる当時の巡回訪問を明確に記憶している方はいなかったが、保健師を介しての今回の調査受け入れもスムーズであった。3年後の経過を知る、今後の活動の参考にするという目的に賛同いただけたことから、HuMAに対する悪印象はなく、保健師と連携して必要な情報収集を行った全戸訪問に協力したことは妥当であった。

2. 連結性
2016年の発災3か月後の評価で、@支援チーム撤収後も個別相談票を活用し地元保健師により引き続き介入された、A症例に応じて入院などの適切な介入につながった、ということから、保健師に活用される共通媒体をHuMAが共有し保健師と連結できたのは効果的だったと言える。ただ、名前の記載があるがその地域に実在しない人であり、地元保健師が困惑したというエピソードがあり、その背景までは不明であるが、訪問家庭の名前の誤記、乱筆、姓名のみで氏名がそろっていなかった、聞き間違えた、など起こりうる問題を防ぐべく身元の正確な記載を徹底する必要がある。また、訪問した家庭ごとに主担当したHuMAメンバーの署名や日時など、HuMA側での記録をとっておくことで後日の問い合わせや情報の照合に応じる備えとできることが考えられる。

3. 一貫性
3か月後の調査では、訪問初期の頃に統一した書式がなく一貫性がなかった問題が挙げられていたが、その後、統一した書式を作成し、一貫した調査が実施された、住民のリーダーなどから調査に対する苦情はなく活動に一貫性が見られたとの評価を得られた。最終的に、異なる書式293戸、統一した書式2123戸、統一書式の割合87.9%であったことから、記録については概ね一貫した対応ができた。ただ、訪問等の調査が決定した時点で、書式についての事前申し合わせ、必要かつ活用されやすい項目等の設定を保健師とともに打ち合わせておく、初回試行後の振り返りおよび修正が保健師とできるとよい。

4. 被覆率
3か月後の調査では、外部の支援チームによる訪問が阿蘇市内の世帯数の99.3%をカバーできており、全戸訪問のうちHuMAが行った割合は、13.4%であった。外部の支援チームの活動日数や人員数などの詳細を踏まえた分析はできていないが、「外部からの支援チームによりほぼすべての訪問ができていた」という保健師の評価の一環をHuMAが担えたことは確実であった。ただ、外部支援チームだけで全戸訪問を完了できなかったという評価もあるが、必要に応じては保健師が直接訪問したほうが良い家庭や、時期的に保健師の訪問が可能になっていったことも考えられる。被覆率だけで効果を見ずに、調査の際に、その対象にとって外部支援チームの訪問で良かったのか問う対象の情報および分析が行われると良い。

5. 効率性
3か月後の集計では、阿蘇市の世帯2416世帯で住民に接触/訪問できた割合は6割以上であり、遠隔地に退避したり、昼間は就労等での不在の可能性も高い中、概ね訪問時間帯や人員配置には問題がなかったと考えられる。ただ、訪問調査が重複した例が数件見られたとの情報(2次隊の資料より)もあり、背景は不明であるが、記録が欠損していたり、保健師との事前申し合わせができなかったなどが考えられる。訪問時のあいさつ等でまず、HuMAの名刺を示しての明確な自己紹介、類似の調査があったかどうか、またユニフォームなどに見覚えがあるか、などの確認をすることによって重複調査は避けられると考えられる。また、同一家族内で別の人員が回答した場合は、調査の重複は避けようがないと考えられる。

6. 有効性
3か月後の調査で、HuMAの支援終了後に残存していた全戸訪問は地元保健師2名で、1日で終了したとの情報があり、全戸訪問に関わる保健師の負担を短期間に留めることができた。また接触できた家庭数のうち、介入が必要とされたのは4.4%であり、ごく少数でも介入が必要な事例を見出せたのは、全戸をめざした訪問の成果として有効であった。

7. インパクト
3か月後の調査において、HuMAの古城地区訪問は被災者の不安や保健師の負担軽減となったとポジティブな評価を保健師らから得られた。また、見知らぬチームの訪問で予見されたクレームやプライバシーの侵害感情などのトラブルもなかった、とのことでHuMAの印象は悪くなかった。ただ、当時の調査で、調査が重複した際に被災者から不審に思われたとの記録があり、今後、調査の実施記録は入念に点検したうえで、訪問家庭をピックアップすること、対象家庭を保健師とともにダブルチェックする、訪問後の記録を正確に残すことなどの対策が必要である。今回訪問した合計4軒のうち2軒の方はHuMAが訪問したことを明確に覚えておらず、1軒の方がHuMAのユニフォームを記憶している程度であったが、調査にも好意的で協力が得られた。負の印象はないがHuMAの印象は乏しいとも考えられた。この背景としては、カバーすべき訪問家庭数が多く、問題がない場合は、簡単な聞き取りで終わったことが考えられる。今後、評価調査での対象家庭のピックアップ時には、HuMAが介入した家庭を対象に入れることも考えてよいのではないか。

8. 持続性
3か月後の調査では、HuMAが訪問時不在だったお宅にその後保健師が回ってフォローアップにつながったこと、抽出された介入必要症例は全て地元保健師によって個別相談票を使い継続的に介入されたとの情報が得られ、HuMAの全戸訪問で導かれた結果が保健師の業務にスムーズにシフトされたと考えられた。 また、全戸訪問記録のデータ整理の代行入力をHuMAが行ったが、HuMAが全戸訪問の結果を電子データ化したことで、その後の保健師によるデータの集約や解析に役立ったという評価も得られた。訪問だけに終わらず責任をもってデータ化できたことは、保健師の負担軽減のみならず、その後のデータの有効活用につなげることができたと考えられる。 ただ、全戸訪問記録のデータ整理の代行入力の進行や理解、入力方法がチームによって多少異なったという保健師からの指摘があり、支障をきたすほどではなかったというが、データ整理の必要性や優先度、具体的な入力方法などの情報の引継ぎがチーム間で乏しかったと考えられる。保健医療サービスの提供のみならず、今回は調整用務等、複数の業務を兼任する中での用務の重要性や優先度は、チームが交代するごとに業務ごとに引き継いだ者が責任をもって保健師とも確認することが求められる。

提言
HuMAが今後、活動地での全戸訪問(データの整理含む)を担当する場合は、対象となる地元の方々に明確な存在感を示し、その信頼をより獲得し、より正確なデータを残すことが必要である。そのためには、他のどのような支援チームが入っているかを事前に確認したり、名刺等も活用しての身元の丁寧な紹介、ピックアップした対象家庭の保健師とのダブルチェック、冒頭で類似の調査があったかどうかの確認をすることが対策として考えられる。また、発災後、HuMAが何らかの形で介入し、その後の経過をHuMAとしても確認しておきたい家庭を評価時点の対象に選んでいただくことも、より評価を正確に行うためには効果的かもしれない。データの整理、入力には複数の人員が関わるため、統一したマニュアル等を作成するなどして、チーム交代ごとに点検・修正等、保健師に負担をかけない形でHuMA内で正確かつタイムリーな支援ができるよう引き継ぐ必要がある。
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