HOME ホーム CONTACT US お問い合せ サイトマップ

2012東日本大震災被災者医療支援事業速報
〜福島県飯舘村での健康増進活動事業〜
TOHOKU - PACIFIC OCEAN EARTHQUAKE



「全村見守り隊支援」第一期事業:第二次本隊 報告書

健康相談の様子  健康相談の様子

健康相談の様子

派遣地・期間 : 福島県飯舘村・2012年7月14日〜7月15日

活動内容全般について
 終始、BHNのスタッフがロジを担当して下さったので、安心、安楽でありました。予想していた以上に、相手方の受け入れは良かったと思われます。

 1日目は午後からの3時間、2日目は午前の3時間でしたが、人数はそれほど多くなく、特に2日目は一人一人にゆっくり時間をかけて話を聞くことを中心に実施しました。話の内容は、今の生活に対する不満や不安、今後の状況が見えず先の事を見据えた行動ができないことに対する焦燥感、飯館村での生活に戻れない無力感などがうかがえました。またほとんどの方が、いつまでこんなことが続くのかという、怒りにも似た不満感を常に抱えておられる状況も感じ取れました。

 活動としては、主に村で実施した健康診断結果を見ながら、今後暮らしの中で注意しておくことや、心がけて行動していただくことについて等、本人の気持ちも伺いながら相談事業として展開しました。BHN事務局が配布している歩数計によるデータは未登録のものがあったりなど、全員同じ条件での相談事業には至らず、中には健康管理における何も資料を持参せずして相談に来られた方もいたため、本人からの訴えのみに限定した対応となってしまいました。  

 疾病構造は、脂質異常症が多く血中のLDLコレステロール値及び中性脂肪の数値の増加が目立ちました。冠危険因子を持つ方は少なかったので、ほとんどの利用者の方に、食事及び運動指導を実践も交えながら実施しました。また食事については現在の状況を確認しながら、具体的な調理方法や摂取の仕方についてできるだけ具体的に理解できるよう助言をくわえました。

 精神的ストレスが溜まっている方や脂質異常症の方が多いことから、今後は心理療法士、精神科医による面談、管理栄養士による実践指導等の展開が望まれます。また、医療相談もさることながら、話し相手となる気持ちで取り組むのが良いと思いました。

医療相談について
  一次隊の活動時では2つの相談ブースが隣り合っておりましたが、一次隊からの提案で、今回はプライバシー保護のためにも相談ブースをそれぞれ離れた場所に設置してもらいました。また今回から、村がこの6月に実施した健診の結果を各自持参して頂くことになりました。検査結果を解説し、療養の方向性等を示すことができましたが、この試みは医療相談のきっかけとなり、相談を実施する上で大いに役立ちました。円滑な健康相談を展開するためにも、今後は相談を受けに来られる人はできるだけ健診結果を持参して頂くようにすべきです。

 案じていた放射線の健康影響に関する質問はありませんでした。 HuMA医師の相談ブースでは、50%(18人中9人)で高血圧の既往があるか、又は最近高くなった、66.7%で震災後、体重の増加が見られ、77.8%で脂質異常症で治療を受けているか、今回の健診で異常値が認められました。生活習慣病及びその危険因子が顕著な頻度で観察されました。

 脂質異常症のある方で、冠疾患の既往のある人はおられなかったので、先ず全員に対して食事療法、運動療法等をお勧めしました。 またほぼ全員が健康不安についての質問に「不安を感じている」と答えていましたが、健康不安と生活不安が直結しているためと考えられます。 ほぼ全員が精神的ストレスを感じていると答えておられ、主な理由として、生活が不規則、借り上げ住宅の隣人がうるさい、寝床が違う、眠れない、先が見えないなど将来に対する不安、以前の生活に戻れない、線量計がかえってストレスになる、家族の離散などがありました。特に、将来の生活に対する不安が最も多く聞かれました。

 HuMA看護師の相談ブースでも、健康に関してほとんどの方が関心を向けておられ、特に女性に関しては体型を気にかけ、運動器具を活用して運動する姿もみられました。生活環境や食生活の変更を余儀なくされたうえに、もともと畑仕事をされていた方はそれも出来ず、自己の社会的役割が発揮ができず精神的にも大きな影響を受けていることが伺えました。本来真面目で、昔から自然に囲まれ穏やかに過ごされてきた方達ですが、我々が丁重に挨拶し身体の事や健康に関して問診していく中で、健康に限らずいろいろ胸中に秘めてきたことを話してくれました。 初対面の我々に様々な想いを話してくださることを考えると、例え身体上のことでなくとも時間をかけてゆっくり話を傾聴することが、相談者の方からすれば心の安寧につながるのではないかと思いました。  

 身体上に関しては、既に高血圧や糖尿病で薬物療法をしている方もおられ、現在の生活の中で治療が継続できているかを確認しました。またがん検診などが数年前より中断されている方もおられたので、定期的検診の重要性などを再度説明し、検診推進を図りました。

いちばん館の状況について
 標高400mの高原に立ち、老人保健医療施設に隣接しています。全村見守り隊が交代時間になると出入りし、ゆったりとした明るい空間で休憩したり、集うには十分な広さであります。但しテーブルと椅子のみなので、少し横になって休憩するようなスペースもあれば、より一層くつろげるのではないかと思われます。休憩室のテーブル上には、放射線の測定器が数台ずつ置かれており、恐らくパトロールに出かける際に装着しているものと思われました。休憩スペースの壁に沿って地区別日報の見守り隊ファイルが並んでおり、壁には福島県及び飯館村周辺の放射線危険区域を示した地図や、新聞記事等が掲示されていました。

飯舘村での活動で気付いたこと
 飯館村は「日本の美しい村」の一つであり、主な産業は農業と畜産業でした。全村見守り隊員の大半の方々は農業に従事しており、朝は早くから夕方まで農作業に従事して来られた方々です。三世代、四世代が一つ屋根に住む大家族の方々が多く、また野菜類は自給自足で、それまで買って食べたことがない人が多数です。 食べ物を残さない風習があるようで、避難生活においても主婦の多くが家族が残したものを食べてしまい、そのため体重が増えたと言っておられた方も幾人かおられました。 それらの方々が飯館村を離れて、福島市、川俣町、相馬市、その他に借り上げの一軒家、マンション、アパート又は仮設住宅での生活を余儀なくされていますが、住み慣れた飯館村に戻り生活再建できることを望んでおられます。畑仕事中心に生活を営んでこられた方々が、今その自分たちの生活を奪われた状態が長く続くことは、今後健康面に限らず様々な側面に悪影響をきたしていくことが予測されますが、例えば長年畑仕事をやってきた経験が発揮できる場所などがあれば、その方々のQOLは何とか維持されるのではないかと思います。

 飯館村の被災者の方々は、健康問題だけでなく政府や東電との確執など社会的問題も多く抱えておられます。ささやかな気遣いではありますが、相談室のテーブルに花を生けた花瓶を置き、相談者の方々が気兼ねなく和める雰囲気づくりに努めました。

今後の改善点
 健康相談には村が実施している健診の結果を持参して頂くこと。 また、健康相談を受ける人は必要な情報を事前に、相談ブースではない場所で記入するようにして頂く方が良いと思われます。健康相談実施結果シートは相談実施者が必要な情報を書き込み難いので、改善が必要です。

 「全員が出来るだけ同じ条件での相談事業」を実施するには a.健康相談実施結果シート、b. BHNのアンケート、c. .村の健診結果、の三者が揃っている必要があります。また、お薬手帳や万歩計も必ず持参して頂き、血圧、脈拍数、体重等の情報も出来るだけ入力して頂くようにする必要があります。

 今日の治療薬2012(南江堂)が健康相談時に手元にあると活用できると考え、手配をしましたので三次隊から活用が可能です。食事や運動について、現実的にすぐ活用できる具体的方法を知りたいというニーズが高いので、他職種との連携、あるいはコーディネートが可能であれば非常に効果的だと思われます。 近々また体操教室も開催されるとのことなので、相談者の方々には是非参加するよう呼びかけています。

 

【コーヒーの提供を始めました!】


 HuMA会員の提案で、いちばん館の待合室にコーヒーメーカーを設置し、健康相談を待つ方々に自由にコーヒーを飲んで頂けるようにしました。UCCフーズ様には200杯分のコーヒー粉、紙コップ、スティック砂糖やミルク、 サーヴァーのセットなどを提供いただきました。

  設置作業並びに使用方法等を現地の方々に教えるために、今回のみHuMAロジを派遣しました。エル・サルバドルとコロンビア等のレインフォレスタリー・アライアンス銘柄コーヒーを飲んで頂きました。いちばん館では香りが館内に漂って、大変好評を得ました。14日は80カップ、15日も50杯ほど飲んで頂きました。

  コーヒーメーカーは第四期(2013年4月〜)も引き続き現地に設置し、自由に使って頂く予定です。

このページのTopへ
Copyright 2003 Humanitarian Medical Assistance all right reserved.