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HuMAの活動 - 2010チリ地震被災者支援のための初動調査

初動調査チーム(高田洋介看護師)活動レポート

2010年3月13日(土)
 8時にサンチアゴを出発し11時30分にタルカに到着しました。途中、橋が崩落しており、側道に回されるなど、高速道路はまだ復旧作業が続いています。しかし復旧は進んでおり、交通量も少なくスムーズに走ることができています。
崩落した橋 (写真)崩落した橋

  ホテルに着いたのち、ICAチリで研修を受けた人がタルカにある福祉施設グループの会長を担っており、この方の案内でタルカにある福祉施設などを視察しました。最初に視察したのが日本で言う特別養護老人ホームで、これをホスピスと呼んでいました。レンガを積み上げた古い建物で天井や壁が崩落しているところがたくさんありましたが、幸いけが人はおりませんでした。ここの利用者は120名で、先日まで敷地内の簡易の天幕の中で生活しておりましたが現在は市の体育館に避難しています。
ホスピス (写真)暗い部屋に天井から光が差しているのが印象的

 次にここの利用者が避難している体育館を視察しました。認知症の方が多く、寝たきり、車いす、歩行器など様々な活動レベルの方がおられました。6名の看護師が8時間交代で常時1名勤務しており、パラメディカルとよばれる看護助手が10名弱働いています。またボランティアの医学生もいるそうです。医師が週に1回、臨床心理士が月に1回来ていました。体育館は天井が高く夜や明け方はとても寒いですが、今のところ流行性の感染症は認めません。しかし冬が近づくにつれ、風邪などの流行が懸念されます。またハトが入ってくるため、その糞による汚染が懸念されておりました。
 体育館は市の好意で優先的に使用させてもらっていますが、一時的な収容であるため今後の収容先の確保が急務の課題とのことでした。ホスピスで聞き取った現在のライフラインの状況は、電気、水、携帯電話は復旧していました。ガスは平時からガスボンベを使用しており、ボンベの供給に問題はありませんでした。一般の電話はありますが、携帯電話の方がよくつながるので使用していないとのことです。下水道は普及していますが、一部のトイレは屋外設置型簡易トイレを使用してました。汚物は消毒薬を入れた後に地中に埋めて処理をするため、汲み取りは行われておりませんでした。これらの簡易トイレは知り合いの施設の方から借りており、自治体からの供給ではありませんでした。食糧は州政府行政省と一般企業からの供給を受けており、これに関しては充足しているようです。

 その後、倒壊した家屋に住んでいた人たちが避難している仮設テントを視察しました。屋根付きバスケットコートの中に近隣住民がテントを持ち寄って生活していました。タルカの市立病院に勤める家庭医が、男性看護師とともに当直明けでボランティア巡回診療を行っておりました。彼はタルカ市17万人の健康を担当する責任者でした。現在、瓦礫の埃が要因となっていると考えられる気管支炎や喘息が多いとの情報です。成人の間では、流行性の下痢は認めていませんが、小児の下痢は多いそうです。またガーゼや包帯などの医療資器材や寒さをしのぐシェルターが必要だと言っておりました。
タルカ市内のテント村 タルカ市内テント村で
(写真左)タルカ市内のテント村 ・ (写真右)タルカ市内テント村で巡回診療をする医師

 午後にタルカに駐留している軍の野戦病院を視察しました。200m離れたところにある公立病院の機能低下を補完する役割を担っており震災後5日目(3月3日)から稼働していました。ベッド数は24床、軍の医師は3名で(外科2名、整形外科1名)公立病院から5名ほどの医師が加わって診療しています。主に外傷外科をしているとのことでしたが、公立病院の医師が加わったことで循環器疾患にも対応できるようになりました。看護師は常時2名が勤務しています。また看護助手は20名程度が勤務しています。震災直後から1週間ぐらいまでは大変忙しく、複雑骨折や胸腹部の手術をこれまでに33件したそうです。
 現在は27名が入院していますが重傷者はいませんでした。今は精神の専門家による介入が必要な人が多いと言っていました。この野戦病院は宿直室、トイレ・シャワー、薬・医療資材の倉庫、検査室、手術室などが完備されていました。産科医はおらず、また大型の検査機器はありませんが、既存の公立病院にはあるので問題ないと言っていました。

 その後コンスティトゥションに向かいました。コンスティトゥションから5kmほど離れた高台に仮設住宅が建設されておりました。施工者はNGO「一つの屋根をチリのために」で、政府の建設省から資金提供を受けて実施していました。現在120棟を建設し、本日から入居が始まりました。1棟につき2家族が入る予定です。この仮設住宅は木造で防水シートは用いていましたが断熱材はなく、かなり簡易のシェルターという印象でした。電気や水道などのインフラ整備については未定だそうでとりあえず雨風をしのぐためのものです。
建設中のシェルター シェルター
(写真左・右)コンスティトゥション近くで建設中のシェルター

 コンスティトゥションは河口付近の街で、川からの津波で被害が出ています。川辺にあった家は根こそぎ流されて更地になっていました。水辺から300mほど行くと建物は残っていますがレンガ造りの家の損傷がはげしく、狭い路地には瓦礫が散乱していました。 テント生活している人にインタビューをしました。食糧と水は配給されており、何とかなっているとのことでした。自治体からのシェルターの供給はなく、自前のテントで生活しておりました。子供たちの笑顔に気持ちが救われますが、灯りもなく寒い夜を耐えなければならない現状には心が痛みます。住宅街の一部では商店が営業を行っており、物流も回復してきているようです。軍の治安部隊が監視をしているため、治安は落ち着いておりました。
散乱する瓦礫 子供たち
 
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